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密室ロジック (ねこ3匹)

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講談社ノベルス

氷川透シリーズ」第4弾。

今回は氷川君が(記事文章上ややこしいので作者を「氷川さん」キャラの方を「氷川くん」と
明記します)完全な安楽椅子探偵役として活躍。
前半が登場人物(ソフト会社+パソコンメーカー会社の人々)達それぞれの視点で、
思惑や立場などが書き連ねられていきます。二度目の同メンツでの飲み会、
会社に集まった人々の人間模様、そして「視線の密室」殺人事件。
氷川透の友人である詩緒里と冴子がその渦中に。


完全なパズル本。
プロットが第二会議室での殺人事件それのみなので文章量としてはこんなものでしょうか。
読みどころは完全に後半の氷川君の密室ロジック講釈でしょう。
その場に居合わせない探偵が、情報、その与えられたパーツだけで謎を解き明かす、
提示される材料が一つでも違えばおのずと答えも変わってくるのが当然と。あくまで
導き出される解答は、一つの可能性に過ぎないと。
得意の消去法でただ一つの「有り得る真相」に辿り着くのはなかなか胸のすく思いです。


しかし、氷川さんのファンである自分には本作は合わなかったかも。
回りくどい書き回しやちょっと筆がすべったようなユーモアは健在ですが、
こういう形式の小説はストーリーにやはり不満が残ります。