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雪密室 (ねこ1.7匹)

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講談社文庫。法月綸太郎シリーズ第1弾でしょうか。(疑問形はやめろ?)


休暇を取り、篠塚真棹からの招待状を受け取った法月警視は、
井賀沼の「月蝕荘」へ赴いた。彼を地へ向かわせた理由には、警視の隠された私情と
上部からの命令があるようだ。
月蝕荘にはオーナーの沢渡冬規はじめ、何やら胡散臭い人間達が同じように
招待を受け集まっていた。
そして、篠塚真棹が到着し一同に会したその夜、真棹は密室の中、首吊り死体となって
発見される。
自殺で処理されるかという矢先、法月警視だけは殺人だと断言する。
警視は、息子へ協力を求めるがーーー。
カーター・ディクスンの「白い僧院の殺人」をモデルに「改装」に挑戦した
雪の密室ミステリ!



いきなりですが、「白い僧院の殺人」のネタバレをする必然性がどこにあったのかが
まず気になりました。注釈はきちんとありますが、ここまで読んでもし原典が未読だった
場合、読書を中断する方もおられると思う。はっきり言って、ネタバレ箇所を飛ばしても
本書を読むにあたって支障はないです。

本書は本格ミステリの形式にストレートにのった、正統派ものです。
デビュー作がちょっと趣向を凝らしたものだったので、逆にこういうのもアリですね。
この法月親子はまんまエラリー・クイーンがモデルですし。主従関係?も
なんだか本家を彷彿とさせます。

法月警視と、綸太郎の親子関係もちょっと面白い。作者の悪戯なんでしょうね。
悪戯と言えば、冒頭のエピローグもちょっとした仕掛けがあって唸りました。



※以下、少しネタバレします。未読の方はご注意ください。

 

で、内容ですが。



この足跡のトリックはいいのか????
ちゃんと調べなかったから、気付かなかっただとぅ??
警察の捜査って、ここまで杜撰なのだろうか??
それを基盤にして初めてこのトリックは成立するんですよ。そんな馬鹿な。
ここで、自殺説をとっていたのだからという意見が出るかもしれないが話は一緒だと思う。
主人公は法月親子であり、他殺を証明するために捜査しているはずだから
警視なり綸太郎なりが独自で調べるべきでは。
ていうか、靴のサイズなんかどうでも良かった気がする。そんな暇があるならだね、(リピート)。
そして、「読者への挑戦」挿入前に
その判明した事実を記述しなければ何のことやらわからない。
しかし、記述したらしたでもう答えを見せたようなもの。
犯人が複数だから、正答には辿り着けないかもしれないがちょっとズルさも感じる。

まだある。
法月親子の言う、「証拠」。
ちょっと待て。これは倫理的にどうなんだという以前に、証拠として裁判で通用するのだろうか。
あと、首吊りについては、抵抗の爪痕などは首に残らなかったのでしょうか?

以上。勘違いなどあればご指摘いただきたく。


不愉快な読後感に関しては、毎度の事であり好みの問題の範疇。
私の感受性が追いついていけてないという事で作品が非難されるいわれはないでしょう。