すべてが猫になる

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殺しへの招待 (ねこ3.8匹)

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天藤真著。創元推理文庫。「天藤真コレクション・パート6」。


「きょうからひと月以内に、ある男の死亡通知があなたの手もとに届きます。
実は彼は殺されたのです。殺すのは、このわたしです。」
ーーーといった殺人予告状が夫と4人の知人宛に送られて来た。
5人の男達は、自分がその「夫」ではないかと恐れ、招待されたホテルに
集結する。それぞれが対策を練ろうと奮闘するが事態は意外な展開を見せ始めてーー。


天藤真。没故作家であり、現役作家限定という本来のブログの主旨とは違うのですが
毎日可能な日は更新したいなあ、というのと「お前は趣味かたより星人か」と思われないため、
というモチベーションのもと良いものは何でも記事にすることにしました。


前置きはさておき。


久々に読むと面白いのがこの人。
若干、時代の古さを感じますが滑るようなテンポのいい文体と、
ユニークな物語設定、生き生きとした人物像はこの作家ならでは。
出だしから奇妙な予告状と一癖ありそうな「夫候補」たちの出現に
ここで読む手を止める読者はいないでしょう。

中盤からストーリーは意外な方向へ進み、新たに登場する容疑者達と
それぞれが思惑を抱き、ミステリである事を忘れるような「絡み」が
この真相を痺れるものにしてくれます。

ちょっと早いんじゃないか?という謎の真相の解明も、
犯行の動機や周りの登場人物達の関わり合いの濃さ、深さで
ああ、この物語の肝はそこではないんだなと思えますね。

と、浮かれて感動していたらこれまたラストで……。

というように、最後の最後まで気を抜けない、「匠の技」で
終始楽しませてくれました。

今読むと地味かな?スレてしまう前に読んでおきたい一冊。