すべてが猫になる

ヤフーブログからお引越し。

複製症候群 (ねこ3.3匹)

イメージ 1

講談社文庫。


ノンシリーズもの。

完璧な兄へのコンプレックスに悩む、進学校に通う下石貴樹の人生は、
ある日突然空から降りて来た七色の幕によって一変してしまった。
幕の正体は、触れると自分のクローン人間が出来てしまうという
謎の物体だった。クローンを作ってしまった友人達と教師、謎の隣人と共に、
貴樹は不可解な殺人に巻き込まれてゆくがーー。



いやあ、実に面白いです。
流石は「七回死んだ男」や「人格転移の殺人」を書いた西澤さん、本作も
設定が奇抜で、展開もスピーディ。会話も人物もリアルで魅力があり、
比喩なども素晴らしく惹き込まれる作品ですな。


しかーーーし。
…………なんでこんな結末にするのですか。。
元々が、クローンという聞きなじみのあるものを扱っていても、
設定を独特に複雑に課し、ここにしかないミステリ世界を作るのが
西澤さんではなかったの?

作中に記述があるように、クローンとは云えお互い違う経験を重ねて行く以上、
別の人格なのだと。そこをもう少しですね、期待していたのですよぅ。
オリジナルはどれか。というところに謎の焦点を絞れたら面白かったのに、
これではそれが問題ではなく、機会の問題になってしまいます。

ということで、区別がついてしまうのでおおよその仕組みの見当がつきやすいのです。


面白かったけども、テンカウントを9で止められちゃった気分。。