すべてが猫になる

ヤフーブログからお引越し。

新宿少年探偵団 (ねこ3.6匹)

イメージ 1

太田忠司著。講談社文庫。


タイトルまんま、「新宿少年探偵団」シリーズ記念すべき?第一弾でございます。


新宿に跋扈する「θ(シータ)」と名乗る怪物。
偶然に集まった、4人の中学生達が謎の青年「蘇芳(すおう)」と出会い、
θを擁する悪人、「髑髏王」と対決するべく少年探偵団を結成したがーー。


本家を凌駕しなくても構わない、乱歩への愛情と一点の個性、そして
しっかりした物語がそこにあれば。
そう思って読み始めるなら本作は当たりです。

七つ道具だの襲いかかるカメレオンだの、一見幼稚ではありますが
作者という「大人」が俯瞰的に子供を描いているので違和感はないです。
大人から見た現代の(当時の)空虚な中学生の姿を
優しく、理想的に、あるいは少し引いて眺めた像として描かれている感じ。

ミステリの範疇には入れられませんが、
ちょっと軽い、ピリ辛でなく塩辛くらいの少年冒険小説としては十分楽しめました。


なんといっても、探偵団4人のキャラが丁寧に描き分けられていて、
それぞれの人格形成に至った家庭環境や生い立ちなどにも触れているのも
乱歩にはなかった読みどころ。

髑髏王との対決で、役立たずだと自嘲していた少女が思わぬ活躍をし、
それが○○の人格だった、というのが技あり。

こういう細かい部分まで読ませるものは大好きです。


しかし、この表紙、誰だ?^^;