すべてが猫になる

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黒い仏 (ねこ3.3匹)

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殊能将之著。講談社文庫。


前作「美濃牛」で登場した石動戯作がまた登場。ということはこれはシリーズ化して
いるのでしょうか。


石動の元に奇妙な依頼が舞い込んで来た。九世紀の天台僧・円載にまつわる唐の
秘宝を探してくれ、というものである。
簡単に承諾した石動は、助手のアントニオと行動を開始する。
一方、福岡ではアパートで1つの指紋もない死体が発見される。
無関係に見える、2つの事件の接点は?


えーと、なんていうか結構すごい展開ですね。
自分はあとがきにあったようなミステリじゃないという理由に壁に投げつけたりは
しませんが。もう少し構成を工夫して、筆力を上げれば十分傑作になりうる
作品だったと思います。
それ以外の理由で本作を貶す要素はあまり自分は感じられませんでした。

こういう作品に対してアレルギーが発生するタイプの読者というのは、
果たして積木鏡介「歪んだ創世記」(有名でない作品を引き合いに出されても^^;)
を読んでも同じ感想を持つのでしょうか。

例えば友人に、「本格ミステリを貸して」と言って本作を貸されたら
そりゃ怒りますが(笑)

本格ミステリというものは読者はもちろん、登場人物(しかも主役)、果ては
作家でさえ、その手のひらでは踊らない、という実験作としてなら
十分に私は評価します。


ぶろぐ仲間の皆様、反論してくれと書けば遠慮なさるでしょうから
反対意見などありましたら是非コメントいただきたいと思います^^。
軽くバトルも楽しきかな。。