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美濃牛 (ねこ2.9匹)

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殊能将之著。講談社文庫。


ハサミ男」書いた作家さんの長編第2作目です。
怒濤の750ページ。


フリーライターの天瀬と町田は、入れば病を治すという「奇跡の泉」があるという
亀恩洞に取材に出かけた。依頼してきたのは石動という胡散臭い男で、同行することになる。
しかし村では不穏な空気が渦巻いており、鍾乳洞は立ち入り禁止にされ、泉の存在の有無さえ
定かではなかった。
そしてついにある夜、鍾乳洞前で無惨な他殺死体が発見されーーー。


うーん。。悪かないんですけどね。
マニアックすぎる上に、構成が平易すぎて終始退屈です。作中でも作者が乱歩、正史を
引き合いに出して述べてますが、文章が平易である素晴らしさ、ということとコレとは
また違うような。作家へのオマージュだということですが、そういう蘊蓄に力を入れすぎて
ご自分が用意した牛さんの知識はちろっと本を読んだのを写しただけ、
というレベルでは読者は何を読まされているのか正体が掴めません。

あと、誰が主人公なのかがわからないので、視点を1、2人に絞る事に徹底して欲しかったです。

せっかくちょっと大胆な仕掛けがしてあるのに、
この長さと平坦さでもう驚くには疲れちゃってるんですよね、こっちは。


傑作ではないけれど、地味に合格点なトリックとストーリーだったかも。
村の不気味な雰囲気は、美濃牛というモチーフと正史っぽさを作った事で
かなりリアルでした。犯行の動機や、犯人の精神、一族の血の因縁などが明らかになった時は
かなり陰鬱な気分になったほどです。←褒め言葉

しかし、変なもん読んだな。