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鏡姉妹の飛ぶ教室 <鏡家サーガ>例外編 (ねこ3.7匹)

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講談社ノベルス

鏡家サーガ」シリーズ第4弾です。


鏡家の三女、佐奈の通う学校で、ある日突然大地震が発生した。
校舎は破壊し、生徒のほとんどが命を落とした。そして液状化した大地に
校舎が飲み込まれ、脱出は困難な状況に。
生き残った生徒達の狂気と破壊、そしてあとにはーーーー。


「例外編」とは言っても、なんか7人兄妹もいますしなんだか
このシリーズ全てがある意味「例外編」だと私は思うのですが、まあいいでしょう。
この佐奈ちゃんはアレですね、第一弾で強烈な印象を残したあの子ですね。
そして、同じ学校に通う妹の那緒美ちゃん、この二人がストーリーの核です。
(こんな子鏡家にいたっけ??^^;)


ストーリーは、「飛ぶ教室」を題材にしていますが、冒頭は「漂流教室」の方を
イメージしてしまいました。(まあ、どちらもテーマは共通してる気がするので
どっちでもいいんですが)

前作、(問題作あるいは傑作、いえいえ駄作)「クリスマス・テロル」を読んで
「この作家、大丈夫か?」と不安になりましたが今回はちょっと路線を変えたのか
気分なのか、ポジティブでテーマのはっきりとした風刺要素の濃いお話。
出て来るのは狂人ばかりだし、グロ要素濃いし、表層的には「佐藤友哉」ワールド
全開なのですが、初期2作に比べてインパクトが薄いのは事実。

物足りないというのとはちょっと違う。初期のような作品は一瞬一瞬のもので、
あれはあれでいいし、これはこれでまた方向性が定まってきた感じでいい。

ただ。
どうも、この作家は読者のターゲットを間違えてる気がしてならないというか。
講談社ノベルスから「ミステリー」として出版している以上、読者は必然的に
推理小説好きの人種となってしまうでしょう。
著者は「新本格に影響を受けた作家」ではないのですが、そういうグループに属し、
「異端」な位置づけをされるのもこれまた必然。
そもそも、ミステリにすら影響を受けていないらしいですし。
変わりもの好きのミステリ愛好家から「ここまで行くとちょっと……」という
扱いを受けてしまうのは不当だと感じるわけです。だって、元が違うもん。。

この文章力なら仕方ないのかなあ。