すべてが猫になる

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刑罰/Strafe  (ねこ4.2匹)

フェルディナント・フォン・シーラッハ著。酒寄進一訳。創元推理文庫

 

孤独感は残り続ける。たとえ罰を免れようとも。 『犯罪』で本屋大賞「翻訳小説部門」第1位に輝いた 当代随一の短篇の名手が紡ぐ12の物語。 黒いダイバースーツに身を包み、浴室で首をくくっていた男。赤ん坊を死なせた夫の罪を肩代わりし、三年後に出所の日を迎えた母親。静寂のなかで余生を暮らし、夏の終わりに小銃に弾を込めた湖畔の住人――唐突に訪れる犯罪の瞬間には、彼ら彼女らの人生が異様な迫力をもって溢れだす。本屋大賞翻訳小説部門第1位『犯罪』で読書界を揺るがした短編の名手が現実の事件に材を得て、罪と罰の在り方を鮮烈に問う12編。著者最高傑作! ■目次 「参審員」 「逆さ」 「青く晴れた日」 「リュディア」 「隣人」 「小男」 「ダイバー」 「臭い魚」 「湖畔邸」 「奉仕活動(スボートニク)」 「テニス」 「友人」

 

久しぶりにシーラッハを。「犯罪」「罪悪」のあと「コリーニ事件」を読んだだけで、それ以外は出ていることすら知らなかったのだけど今回ちょっと「犯罪」っぽくて良さそうだったので。そうだそうだ、シーラッハってこういうのだったよなあと思い出しながら読了。無駄を最大にまで省いたシンプルで無感動な文章、好きだったなー。省いているからこそ想像の余地が働くというか。ミステリー風に推理で解決するものもあれば、復讐がバレないもの、理不尽なまま終わるもの、なんとなくモヤモヤするもの。事実のエッセンスを残して創作しているのだと思うが、現実の事件ならばこんな感じなんだろうなというリアリティ。薄いしサラっと読めるので、三部作として「犯罪」「罪悪」「刑罰」一気に読むといいかも。