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教場X 刑事指導官 風間公親  (ねこ3.9匹)

長岡弘樹著。小学館文庫。

伝説の刑事指導官・風間公親の右目が光を失った。かつて逮捕した男に逆恨みされ、千枚通しで襲撃されたのだ。その後、T県内では連続刺傷事件が起きているが、犯人は逃亡中だ。復帰した風間は、現場で厳しい指導を続ける。失格の烙印を押された新人刑事は「交番勤務」に逆戻りだ。母親を失った少女の息づかい、生まれたばかりの乳児の火傷痕、放射線を観測する「キリバコ」――風間は、難事件の真相を完全に見通している。 月9ドラマ「風間公親ー教場0」原作にして、風間に警察官人生最大の転機が訪れるシリーズ第五弾。警察小説の金字塔、100万部突破!(裏表紙引用)
 
教場シリーズ第5弾。風間が襲撃され隻眼となり、刑事指導官として勤務していた頃の話。警察学校に異動する前になるのかな。風間に指導を受ける新人刑事たちの奮闘。
 
「硝薬の裁き」
元警察官であり現町工場社長は、妻を轢き殺し無罪となった男を射殺した。母親を失ったショックで口のきけなくなった娘の喉から異音が――。
新人刑事路子がアレルギー持ちだったことが解決のきっかけになる。路子のアレルギーを治した風間に痺れる。「刑務所に送ってやりたい」という言葉が自身に跳ね返ってくる。秀作。
 
「妄信の果て」
大学生の戸守は、マスコミから内定をもらうも担当教授から単位をもらえないことに焦り教授の自宅ベランダから突き落とし殺害した。
カンニングの法則、が生きている。でもこれ決定的証拠になるかな?言い間違え、って誰にもあるよね。
 
「橋上の残影」
自殺した恋人の復讐を果たしたOLの瑤子。被害者が身につけていたマッサージ機のようなものの正体とは――。
今話の刑事にはあまり裏設定がないかな。落ちたサコッシュは死んでも回収しておくべきだったね。
 
「孤独の胞衣」
シングルマザーになる決意をした千寿留は、父親である売れっ子工芸家に子どもを奪われそうになり殺害してしまう。
これは男がクズすぎて同情したくない。千寿留の出産に関する秘密にビックリ。ところで体型って産んですぐ元に戻るわけではないのでは。。胎盤とか残ってるよね。
 
「闇中の白霧」
闇サイトを経営している名越は、関係のあった女を殺害した。しかし名越には強迫性障害があり――。ウィルソンのキリバコ、知らなかった。放射線が事件を解決するとはなかなか面白い。
 
「仏罰の報い」
盲目の元教授清家は、娘へのDVをやめない夫を自宅で殺害。その驚愕のトリックとは――。モノを知らない娘だけならともかく、大人の、教授の男が殺す以外の手段を思い浮かばないはずないのにやりきれない話。失うものが大きすぎた。娘への愛ということなのかな。
 
以上。
数話新人刑事のキャラクターがあまり立っていないものもあり。風間は刑事指導官時代もやはりすごかったということで。このあと警察学校に入るのか。どれも面白かったが、警察学校が舞台のほうが面白いかな。