すべてが猫になる

ヤフーブログからお引越し。

Shelter(シェルター)  (ねこ3.6匹)

近藤史恵著。祥伝社文庫

世界はわたしたちに優しくない? 心のシェルターを求めて出逢った恵(めぐむ)と少女のミステリアス・ジャーニー 〈人はなぜ、最も大切な人をいちばん傷つけてしまうのだろう?〉これ以上、妹を傷つけたくないと過去から逃れるように東京に来た江藤恵(めぐむ)は、いずみと名乗る謎めいた少女と出会う。「殺されるかもしれない」とすがってくる少女にいつしか妹の面影を重ね……。愛し合い傷つけ合う若者の心に染みいる異色のミステリー。(裏表紙引用)
 
久しぶりに近藤さん。整体師合田シリーズ3部作の最終作らしい、というのは読後知った。。調べたら前2作を読んでいるらしいが、全く全然ちっとも覚えていない。。ははは。。それでも影響はない作品らしいので(気づかないぐらいだから)まあ良しとします。
 
合田整体院で働く姉妹の姉(恵)が失踪した。妹(歩)は心配し、恋人の小松崎の協力を得て姉の行方を探し始める。恵はいずみという美しい少女を拾い、同居を始めるが…。
 
真っ直ぐに向き合えなかった身内のことを、他人の影響を受けてその大切さに気づくというのはよくある話。身内を大事に出来ない人間が他人といい関係を築けるのか普段から疑問に思っている自分ではあるが、各家庭には色々事情があるもので。特に恵のような家庭環境で育った人間なら素直になれなくて当然かもしれない。だけど合田さんはじめ小松崎や今回深く関係したいずみ、歩とのあれやこれやがあって、自分の気持ちを整理することができたのは素晴らしいな。みんなあたたかくて、話自体は重いのだけれど爽やかな読後感に包まれた。これで完結なのかな。