すべてが猫になる

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殺した夫が帰ってきました  (ねこ3.7匹)

桜井美奈著。小学館文庫。

都内のアパレルメーカーに勤務する鈴倉茉菜。茉菜は取引先に勤める穂高にしつこく言い寄られ悩んでいた。ある日、茉菜が帰宅しようとすると家の前で穂高待ち伏せをされていた。茉菜の静止する声も聞かず、家の中に入ってこようとする穂高。 その時、二人の前にある男が現れる。男は茉菜の夫を名乗り、穂高を追い返す。男は茉菜の夫・和希に間違いなかった。しかし、茉菜が安堵することはなかった。なぜなら、和希はかつて茉菜が崖から突き落とし、殺したはずだったからだ。 戸惑う茉菜をよそに、和希は茉菜の家に上がり込む。改めて話を聞いてみると、和希は過去の記憶を一部なくしており、茉菜と一緒に暮らしたいという。茉菜は渋々それを受け入れる。 かつての和希はとても暴力的な人間だったが、いざ暮らしはじめると、暴力的な影は一切見られず、平穏な日々が過ぎていった。 しかしそんな矢先、茉菜のもとに一通の手紙が届く。手紙には一言だけ「鈴倉茉菜の過去を知っている」と書かれていて…… 記憶をなくし帰ってきた、殺したはずの暴力夫。謎めいた正体と過去の愛と罪を追う、著者新境地のサスペンスミステリー。(裏表紙引用)
 
コピペしただけなんだけど、あらすじ↑長いな。。
 
初めましての作家さん。特に前知識もなくタイトルだけで読んでみたのだけど、まあまあ面白かったかな。「このミス系」というのか、「ケータイ小説系」というのか、文章の稚拙さと台詞の陳腐さ、登場人物の行動言動すべてのリアリティのなさ、深みのなさに読み始めてすぐ「しまった」と思ったのだけど、、面白いし読みやすいし先が気になるのは間違いないのでこっちの負け。スラスラ~っと読み終わってしまった。
 
5年前に崖から突き落として殺したはずのDV夫が自分の前に現れると別人のようにいい人になっていて、なし崩し的に婚姻関係を継続したまま同居を始めるという有り得ないストーリー。随所に「ん?」という疑問が湧き上がる手法で、なぜ主人公が夫と言い張る男を拒否できないのか、過去の虐待話は誰の過去なのかなどなどの謎を後半一気に告白形式で明かすスタイル。説明的すぎなのとやっぱり展開が陳腐なのが鼻につくが、真相が思っていた予想の斜め上だったので読んでいて混乱、なかなか複雑に考え込まれたミステリーだなあと思う。
 
それでもやっぱりこの文章はアウトなので他の作品は読まないかな。。スキマ時間読書にはいいかも。