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お前の彼女は二階で茹で死に  (ねこ3.8匹)

白井智之著。実業之日本社文庫。

自殺した妹・リチウム(ミミズ人間)の仇を討つために、 刑事になったヒコボシ。事件を追いながら、 リチウムを自殺に追い込んだ連中の尻尾を摑み、 破滅させてやろうとたくらむ。 事件の謎を解くのは、 天才的な推理力を持つ女子高生探偵・マホマホ。 しかし、彼女はヒコボシに監禁されていて……。 文庫化に際し大幅改稿、著者渾身の本格ミステリ大作! 解説/乾くるみ (裏表紙引用)
 
白井さん2冊目。
いやあ…すごいね……。
白井さん=エログロなのは知識としても知っているし、こういうタイトルの本を手に取る読者はそういうものに耐性がある、という前提で、すご~く読者の幅を狭めてくれているんだなあというのも分かる。エログロと言っても我々(誰)が想像するようなネットリぐしょぐしょとしたしつこい描写があるわけではなく、白井さんの描くエログロはもっとサラっと無感情に描かれている。だからすごい。登場人物の名前もヒコボシ、ノエル、リチウム、オリヒメ、オシボリ、マホマホだし地名などもつぼつぼ温泉とかミズミズ台とかだし、読んでいてエエイうっとうしいな、と思うんだけどもそうでないと馴染まないというか。
 
で、まあ登場人物もマトモじゃないわけで。主人公の刑事ヒコボシ自体、ミミズ人間である女子高生を1年以上監禁して虐待してたり。。もう1人の主人公、ノエルはミミズ人間であることを悲観して、毎話少女を強姦する役で登場してる感じだし。推理するのは監禁されてる少女・マホマホだし。重要な登場人物があっさり「退場」させられるのも特徴で、一見めちゃくちゃなんだけど最後には全部整合性が取れているからビックリする。ミミズ人間やトカゲ人間などが出てくるけれど、全てその特性を生かした物語、トリックになっているのでそのへんの軽い日常系ミステリーよりよっぽどちゃんとした本格ミステリー。設定自体を毎話覚えなきゃいけないので読むのに疲れるのが難点かな。。三津田さんのジーパン刑事みたいに(いい加減名前覚えなさい)、推理が二転三転するのもキツい。あと、誰の彼女も二階で茹で死にしない。
 
まあ、レベル高いし無二の存在だと思う。体力ないとかなりしんどいので3冊目を読むかどうかは未知。もっと若かったら喜んで飛びついていた気はするけれど。。