青崎有吾著。徳間文庫。
解かないほうがいい謎なんてこの世には存在しない ──。不可能な謎専門の御殿場倒理、不可解な謎専 門の片無氷雨。大学のゼミ仲間だった二人は卒業後 、探偵事務所を共同経営し、依頼人から持ち込まれ る数々の奇妙な事件に挑んでいく。そして、旧友と の再会により、唯一解かれていなかった〝五年前の 事件〟の真相が遂に明かされて……ダブル探偵が織 りなす人気シリーズ第二弾。 (解説 東川篤哉)(裏表紙引用)
不可能犯罪専門の御殿場倒理と不可解犯罪専門の片無氷雨のダブル探偵事務所「ノッキンオン・ロックドドア」シリーズ第2弾。いかにもラノベって感じのおもしろ文体とキャラクター勝負の本格推理の融合で、青崎さんのこっちのジャンルを読むのはこのシリーズのみ。今回も連作短篇集。
「穴の開いた密室」
DIY作業場の作りかけのテーブルの上で刺殺されていた男。ドアや窓は施錠されているが、壁に170×200の大きな穴が開けられていて…。密室……じゃない!この設定が面白い。身内の中に殺人犯がいるということで、そのトリックと大穴の理由が読みどころ。動機がちょっとアレだが。。
「時計にまつわるいくつかの嘘」
それ証拠になるんか?という感じだが、状況証拠としてはバッチリ。時計が確実ではないという時代はもう古いのか。
「穿地警部補、事件です」
マンションの7階から転落死した元新聞記者。倒理らの友人でもある穿地は参事官の姪。組織の人間かと思いきや、意外と情のあるところを見せる。でも男性作家がこういう事件を「女性の立場に理解示してますよ」みたいに軽く扱ってる感じがしたんだよね。。
「消える少女追う少女」
トンネルで消えた友人を探して欲しいという女子高生。嫌われるより誰の印象にも残らない方がつらい、みたいな考え一般的になってるけど、私はそうは思わない。2人の最後のやりとりが好き。
「最も間抜けな溺死体」
IT社長が死んだのは、水の抜かれたレジャープールだった。男はどうやって溺死させられたのか?現実的にはムリだと思うけど、その間抜けなトリックを目撃したら笑ってしまいそう。。
「ドアの鍵を開けるとき」
5年前に縁が切れた友人・美影が事務所にやってきた。倒理の首の傷や美影と縁の切れた理由となった5年前の事件の真相が明かされる。
なかなかのサプライズで、こういう真相はここ数年くらいの流行りなのかなあと思う。馴れ合いじゃなくてお互いの頭脳や人柄を認め合っていると許せるものなのかな。
以上。