すべてが猫になる

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心霊電流/Revival  (ねこ3.8匹)

スティーヴン・キング著。峯村利哉訳。文春文庫。

少年時代、僕の町に新任牧師がやってきた。仲良くなった僕は、彼の家のガレージで、キリスト像が「静かの湖」の上を渡る電気仕掛けの模型を見せてもらった。やがて、彼の妻と幼い子が突然の事故で無惨に死亡する。敬虔だった彼は、神を呪う説教を最後に、町から姿を消した。27年後、僕は再会する。「電気」にとり憑かれた、カルトを率いる人物となった元牧師と――。(裏表紙引用)
 
キングの最新文庫長篇。
ていうか、邦題、、、ダサい。原題じゃダメだったのか。珍しく各300ページ弱しかない。うす。
 
四きょうだいの末っ子ジェイミーは、ハーロウに越してきた新任牧師ジェイコブスとふとした縁で親交を深めるようになった。はじめは牧師も電気仕掛けの模型を制作し実験しているだけだったが、ある日彼の妻子が交通事故で無残な死を遂げる。彼の精神は徐々に蝕まれ、やがては不気味な電気治療で人々を癒すが…。
 
恐ろしい心霊電流に取り憑かれた牧師の半生を、1人の少年の視点で描いた記述書。というスタイル。ジェイミーが牧師をすごいイヤがってるのに、依頼(命令)されたら諾々と従うのがパターンだな。彼を憎んでいるのに、好奇心には勝てないってやつか。実際、次兄の喉を治してくれたっていう恩もあるしね。ホラーっぽい展開は妻子が亡くなったあたりだけで、あとはジェイミーがバンド活動+恋愛+ドラッグに勤しむ青春時代の描写がメイン。なかなか面白い人生だしこの地域のこの時代のバンド活動の実態とか?興味深かったけれど。どこがホラー?って感じが延々と。さすがに下巻も後半になってくると、懐かしい人びとが悲惨なことになっていたり牧師の患者がえらいことになっていたり、そしてそれを一気にまとめる感じの死者を蘇らせるぜーって感じの大イベントが大盛り上がりを見せる。まあ、そうなるわな、っていう想像の範疇ではあったけれど、少年時代のあたたかい交流が、、大人になるとこんなことになっちゃうんだ、って悲しくなった。
 
それにしても、なんで訳者変えちゃったの?こんな言い回しせんでしょ、っていう訳が気になって残念で仕方がない。せめて「お・ま・え・ら・い・く・ぞ!」とかもうちょっとなんとかならんかったんかい?