すべてが猫になる

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とむらい家族旅行/He Started It  (ねこ3.8匹)

サマンサ・ダウニング著。唐木田みゆき訳。ハヤカワ文庫。

ずっと疎遠でいた兄妹、エディーとベス、ポーシャは、亡くなった祖父の莫大な遺産を受け取るため遺言にしたがっていっしょに旅に出ることになる。20年前に祖父が彼らを連れていったアメリカ横断ドライブ旅行を、祖父の遺灰を車に乗せて完全再現するのだ。彼らの過去の旅は、奇妙で危険な秘密を孕んだものだった。そして現在の旅も、はじまりから狭い車内には不穏な空気が……。(裏表紙引用)
 
サマンサ・ダウニング二冊目。単に面白そうだと思って注文した本なので、「殺人記念日」と同じ作者だってしばらく気付かなかった。「殺人記念日」はかなり面白く好みだったので自分はつくづく好みが一貫しているんだなと思ったり。
 
さて二作目はちょっと不穏な家族旅行をテーマにしたミステリー。兄と、<私>と、妹と、兄嫁と自分の夫。祖父の遺言に従い、祖父の遺灰とともにアメリカ横断長距離ドライブ。20年前の旅行をそのままなぞることにどんな意味があるのか?いなくなった長女、ニッキーの行方は?彼らの旅を邪魔するピックアップトラックの正体とは?謎がたくさん提示され、謎が謎のまま旅は進む。決して円満とは言えない関係のきょうだいとその配偶者たち。仲の良くない同士で延々とドライブ旅行って地獄だろうな…仲良くても3日目あたりからしんどくなってくると思う。そして1人抜け2人抜け…。
 
まあそれなりに謎が小出しにされていくので面白いのは面白いのだが、ダラダラのんびり長すぎるかな~という印象。ラストに畳み掛ける怒涛の展開もなんだか不発に終わっちゃった感。最後のあの人物の行動も意味わからんし。え、それでどうやって目的達成するつもり??って感じで消化不良だなあ。なんだかとにかく意外であればナンでもいいやって印象だったのが残念だな。こういう作品で日記が登場した場合、たいてい記述者の名前がハッキリ書かれてないから「あ、これ違うな」ってなんとなく分かっちゃうし。まあ読みやすくて楽しいのは間違いないけど。翻訳ものなのに1時間130ページくらい読めちゃうよ。