すべてが猫になる

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ただいま神様当番  (ねこ4.2匹)

青山美智子著。宝島社文庫

ある朝目を覚ますと、腕に大きく「神様当番」という文字が!突然現れた神様のお願いを叶えないと、その文字は消えないようで…?幸せの順番待ちに疲れたOL、弟にうんざりしている小学生の女の子、リア充と思われたい男子高校生、乱れた日本語に悩まされる外国人教師、部下が気に入らないワンマン社長。ムフフと笑ってほろりと泣ける、5つのあたたかい物語。(裏表紙引用)
 
最近ハマっている青山さんの文庫新刊。中でも楽しみにしていたやつ。ううん、やはりハズレがないね、現在新しいお気に入り作家さんの中でこの人が独走中。
 
悩める登場人物がファンタジックな現象を体験し、それにヒントを得てポジティブな気持ちを手に入れる、っていうのが青山作品の定番なのかな。今作でのそれはなんと「神様」。と言っても対象者が神様になるのではなくて(読むまでそう思っていた)、神様と名乗る謎のお爺さんに取り憑かれる、と言うほうが適しているかな。朝起きたら腕にぶっとい刺青のような「神様当番」という文字が現れ、神様のお願いが叶うまで消えない。そのお願いは人によってさまざま。リア充になりたい、とかえらくなりたい、など。全部各話のキャラクターが「なりたいもの」に設定されているので、それを表面的ではなく誠意を持って実現するかどうかがミソ。
 
何かいいことがないか待っているだけのOL咲良、生意気でダサい弟がイヤで仕方がない千帆、ただ1人の美人フォロワーだけが生きがいの直樹、日本語はうまいのに生徒とうまく意思疎通ができないリチャード、社員に団体で裏切られた傲慢な零細企業社長。どれもあるある感が良かった。年代も性別も悩みも全く違う5人だけれど、目の前の大切なことに気づけていないという点では同じな気がするな。