すべてが猫になる

ヤフーブログからお引越し。

少し変わった子あります  (ねこ3.7匹)

f:id:yukiaya1031jp:20220124175837j:plain

森博嗣著。文春文庫。

失踪した後輩が通っていたお店は、毎回訪れるたびに場所がかわり、違った女性が相伴してくれる、いっぷう変わったレストラン。都会の片隅で心地よい孤独に浸りながら、そこで出会った“少し変わった子”に私は惹かれていくのだが…。人気ミステリィ作家・森博嗣がおくる甘美な幻想。著者の新境地をひらいた一冊。(裏表紙引用)
 
森博嗣、こんなお話も書くんだ。と感心しちゃう1冊。
失踪した大学の後輩に紹介されたおかしなレストラン。毎回場所が変わり、複数での来店は許されず、行けば1人の女性と共に食事を取るサービスがある。大学教授の主人公はその店の常連になるが、毎回来る女性は違っていて…。
 
まさに森ワールド。女性と食事を共にする、会話はあったりなかったり、ただそれだけ。なんとなく、「注文の多い料理店」を思い出させる雰囲気有り。全く性的な意味も発想もないあたりが特に森さんらしさを醸し出させるな~。孤独な大学教授の主人公が日々考えている他者の疑問やあれやこれやを、見知らぬ女性と過ごすことによって浮き彫りにする感じでこれまた哲学的。最終話で1話目に戻ったかのような錯覚を起こす感じ、やられた。サラっとしてるけどファンタジック。見せかけの笑顔や楽しさに惑わされないで。