すべてが猫になる

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六人の嘘つきな大学生  (ねこ4.2匹)

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浅倉秋成著。角川書店

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成長著しいIT企業「スピラリンクス」が初めて行う新卒採用。最終選考に残った六人の就活生に与えられた課題は、一カ月後までにチームを作り上げ、ディスカッションをするというものだった。全員で内定を 得るため、波多野祥吾は五人の学生と交流を深めていくが、本番直前に課題の変更が通達される。それは、「六人の中から一人の内定者を決める」こと。仲間だったはずの六人は、ひとつの席を奪い合うライバルになった。内定を賭けた議論が進む中、六通の封筒が発見される。個人名が書かれた封筒を空けると「●●は人殺し」だという告発文が入っていた。彼ら六人の嘘と罪とは。そして「犯人」の目的とは――。(紹介文引用)
 
ランキング本で話題となった浅倉さんに初挑戦。すごいな、9ヶ月でもう第12版。
 
うん、面白かったー!
就活モノが元々好きなのと、ハラハラドキドキの心理戦から8年後の真犯人当て、さらに意表を突くどんでん返しの連続。5000人が応募するIT最難関企業「スピラリンクス」最終選考に残った6人自身が内定者1人を決めるグループディスカッションを行い、その最中に謎の封筒が開けられ優秀なはずの彼ら1人1人の悪事が暴かれるという奇抜な設定。30分置きの投票制度がキモになっていて、告発されるごとに投票される人間の票に大きな変化が起きるというのが面白い。
 
まあこれだけだったらよくある「人間の裏の顔」を暴く心理サスペンスだな、で終わるのだが、数度にわたり大きく展開が飛躍するので飽きがこない。裏の顔のさらに裏の顔が暴かれ、そして張り巡らされた伏線が明らかになる複雑さに翻弄された。
 
欠点といえば、文章は個人的には退屈で読みにくかったかな?ところどころ変な事が書いてあるのでリズムを崩されるところもあり(これは私だけかも)。登場人物の言動にちょっとリアリティがなかったりするけれども、設定が「小説」ならではのものなので空想と思えばアリかと。こんなうまいこと全員、、、だってことあるかいな?というツッコミも入りそう。まあそれでも読む手が止まらない面白さだったので満足。作家さんとして読み続けるかは微妙だが。。