すべてが猫になる

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探偵は教室にいない  (ねこ3匹)

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川澄浩平著。創元推理文庫

わたし、海砂真史(うみすなまふみ)には、ちょっと変わった幼馴染みがいる。幼稚園の頃から妙に大人びていて頭の切れる子供だった彼とは、別々の小学校にはいって以来、長いこと会っていなかった。変わった子だと思っていたけど、中学生になってからは、どういう理由からか学校にもあまり行っていないらしい。しかし、ある日わたしの許に届いた差出人不明のラブレターをめぐって、わたしと彼――鳥飼歩(とりかいあゆむ)は、九年ぶりに再会を果たす。日々のなかで出会うささやかな謎を通して、少年少女が新たな扉を開く瞬間を切り取った四つの物語。第二十八回鮎川哲也賞受賞作。(裏表紙引用)
 
初・川澄浩平さん。
日常系の謎、青春もの、ということで好みっぽいなと手に取ったが…。まあそのとおりだったんだけど、ちょいと失敗したかな。
舞台は北海道、語り手の海砂真史(中二)、探偵役(不登校)の鳥飼歩、真史の友人エナ、総士、京介が織り成す青春ミステリー。探偵役の歩は頭脳明晰で学校で学ぶ必要を感じないという理由で不登校。会話が苦手とかそういうわけではなさそうだが、変人なのは確か。真史とは幼馴染で、ふとしたきっかけで再び交流が始まった。
 
「Love letter from...」
真史の机の中に入っていた、差出人名のないラブレターの送り主は誰?
この話が1番きちんと推理していたかな。こういう真相って、ミステリ作家なら一回は必ずやりたいものなのだろうか。デビュー作の1編目でいきなりコレとは。
 
「ピアニストは蚊帳の外」
合唱コンクールの伴奏を突然やめることにした京介。その訳は?
京介もだけど、クラスメイトの望月の言い分もどちらも何度読み返しても理解不能だった。こういう思考の人間もいるだろうけど、クラスに2人もいて部外者の歩がそれを言い当てるって無理がありそう。
最後の京介の言葉が黒くてドキンとした、こういうのは好き。
 
「バースデイ」
女子にモテモテの総士だが、溺愛している彼女がいる。しかし真史はある日総士が彼女ではない女子と相合傘デートをしている現場を目撃してしまい。。
推理はともかく、総士の性格は好きだな、友だちも大事っていう。歩の最後の捨て台詞?もクール。
 
「家出少女」
父親と歩のことで大喧嘩した真史は、家出を決意。歩はじめエナたちが携帯の繋がらない真史の居場所を推理するが…。
真史が父親を理路整然と言い負かすシーンにドン引き。。中二でこんな弁の立つ子いる?。。地名やらなんやらがガンガン出てきて読みづらい上、こんなの推理でもなんでもないような。。
 
以上。
う~ん。繰り返しになるけど、とても推理と呼べるような代物ではなかったなあ。まあ、こういうユルい日常系ミステリーは創元にありがちだけども、あくまで「雰囲気」がソレっぽいだけでキャラ造形や会話が気持ち悪かった。。こういうのが好きな人もいると思うけど。盗難事件を完全に生徒がやったと決めつけている教師や(それを問題視すらしておらず、サラっと流されるあたりが。。)、真史のちょっとひん曲がった性格が受け入れられなかったな~。いちいち発言にカチーンとくるんだよね。。すいません、続編が読みたくて第一弾を読んだけどこの作家さんとはもうお別れになりそうです。