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狂人の部屋/La Chambre du Fou  (ねこ4.2匹)

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ポール・アルテ著。平岡敦訳。ハヤカワ・ポケット・ミステリ

本格ミステリベストテン 2007年度第1位】ハットン荘のその部屋には、忌まわしい過去があった。百年ほど前、部屋に引きこもっていた文学青年が怪死したのだ。死因はまったくの不明。奇怪なことに、部屋の絨毯は水でぐっしょりと濡れていた……以来、あかずの間となっていた部屋を現在の当主ハリスが開いた途端に、怪事が屋敷に襲いかかった。ハリスが不可解な状況のもとで部屋の窓から墜落死し、その直後に部屋の中を見た彼の妻が卒倒したのだ。しかも、部屋の絨毯は百年前と同じように濡れていた。はたして部屋で何が起きたのか? さすがのツイスト博士も困惑する、奇々怪々の難事件(裏表紙引用)
 
ツイスト博士シリーズの第4弾らしい。ファン人気も一番高い作品のようで、まったくその通りのことで面白かった!
 
町一番のお金持ちが、弟と、妻と、妻の両親と、妻の兄夫婦と同居しようっていうのがもう死の予感しかない。ただでさえ、大叔父が不可解な死に方をしている家だというのに。。もちろん大叔父と同じ状況で当主は死にあそばされるのだが、自殺として処理されたその1年後からの展開が本番かな。夫を亡くした妻は医者と婚約してるし、医者とラブラブだった女性は兄嫁の浮気相手と婚約しましたと言って現れるしカオス。殺人起きてなくても十分カオス。
 
ツイスト博士は解決編ぐらいしかほとんど登場しないが、もとのストーリーがイカレているので十分面白い。しかも、古典作品とは思えないほどしっかりとしたロジック。今の時代でも通用すると思う。オカルト要素がいいアクセントになっているし。これは見方によってはバカミスなんじゃないかな。わざわざ殺すのにそんな面倒なことしたの?確実性ないのに?っていう。。まさに狂人。
 
今まで読んだアルテの作品で一番面白かったし、好き。