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怪盗不思議紳士  (ねこ3.7匹)

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我孫子武丸著。角川書店

終戦間もない日本。戦災孤児の草野瑞樹は、ある事件をきっかけに探偵の九条響太郎の助手になる。警察にも頼りにされる名探偵・九条響太郎は、「不思議紳士」と名乗る、神出鬼没で変幻自在の怪盗とは宿敵同士で、数々の対決は伝説であった。戦時中鳴りを潜めていた不思議紳士の仕業と思われる強盗殺人事件が久しぶりに発生するが、調査の最中、探偵は爆殺されてしまう。悲しみと怒りにうち震えながらも瑞樹は虎視耽々と機を狙っていた。百戦錬磨の怪盗を相手に、少年の孤独な闘いが、幕開ける―!!(紹介文引用)
 
関智一氏の劇団の演目の一つで、それを我孫子さんが脚本化し、さらに小説にしたものが本作ということだそう。まあモロに江戸川乱歩明智小五郎をモデルにしたものなので、新鮮味はゼロ。でもポプラ社明智シリーズを読んでいた読者にはワクワクする内容かと。
 
舞台は終戦後の日本。戦災孤児の瑞樹が仲間と窃盗を繰り返していた頃、名探偵の九条響太郎に目をかけられ、助手として働くことになった。巷では怪盗不思議紳士による強盗殺人事件が発生しており、九条が調査をすることになった。しかし事務所で九条は爆殺されてしまう。傷心の瑞樹は、九条に心寄せていた令嬢・蝶子と影武者の大作と共に九条の仇討ちを決意するが…。
 
いきなり探偵が死んでしまうのでビックリ。身代わりの大作が結構イヤなやつだし頼りなくて九条のイメージ壊しちゃう感じなので、何を楽しみに読み進めればいいのか戸惑う…。暴力的な少佐の存在もかなり読んでいて気分悪いし。怪盗不思議紳士という存在がバーンと出てくるまでがかなり長いので、ラストは活劇ふうで盛り上がるもののちょっとしんどいかな。もっとテンポが良ければ、事件の犯人や紳士の変装にもっともっと驚けたと思うのだが。
 
まあしかし好きなジャンルだし、怪盗紳士がどうやって屋敷に入り込むのかハラハラしたし、使用人のスズ子は可愛かったし、瑞樹の成長譚として読むにも結構面白いかなと。実はあの人は生きていた、って展開を期待したのだけどね。。それだけが残念。大作もついでのように成長?したので一応ハッピーエンドなのかな。