すべてが猫になる

ヤフーブログからお引越し。

七夕の雨闇 毒草師  (ねこ3.7匹)

f:id:yukiaya1031jp:20210503150449j:plain

高田崇史著。新潮文庫

「……り……に、毒を」被害者は奇妙な言葉を遺して死んだ。毒物の正体は不明。親戚にあたる星祭家では独特な七夕祭を執り行っており、異様な事件が連続する。《毒草師》御名形史紋らは、京都に乗り込んだ。和歌に織り込まれた言霊を手掛かりに、笹・砂々・金・星の言葉を読み換え見えてくる禍々しい真相、日本人を縛る千三百年の呪。「七夕」に隠された歴史を明察する傑作民俗学ミステリー。(裏表紙引用)
 
QEDシリーズスピンオフ第4弾。
 
今回はタイトル通り七夕伝説がテーマ。能楽師の毒殺事件をベースに、おなじみ毒草師の御名形さんが伝説も事件も紐解いていく。織姫と彦星の悲恋や、七夕祭りには短冊に願い事を書いて笹に飾る、という風習。普段あまり考えずに私たちがやっていること、信じていることがまるっと「違うよ!」と指摘されるこの感じ、QEDシリーズにも通じるものが。それにしても、織姫と彦星が実は・・・だった、というのはあまりにも荒唐無稽に感じるものの、筋が通っている気がしてこれはこれで真実っぽい。真偽のほどは私などには分からないが。面白いからいいじゃない。でももう短冊に願い事を…って気分にはならないかも(やったことないけど)。
 
今回登場した美女・響子さんはなかなかのクセ者。西田くんは相変わらず百合さんと響子さんの間で勝手に板挟みとなっています(妄想)。ちょっと呆れてしまうけれど、人がいいので憎めない。御名形さんからの扱いは相変わらず酷いけれど。御名形さんは奈々ちゃんのことをちょっと気になる存在として位置づけしてるのかなあ?タタルのことも意識してるし。ちらっと奈々ちゃんが登場するのは嬉しかった。
 
事件の真相についてはかなりドン引きだけれど、作品世界には合っているのかも。さて続きは出るのかどうか。