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おやすみ人面瘡  (ねこ4匹)

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白井智之著。角川書店

全身に“脳瘤”と呼ばれる“顔”が発症する奇病“人瘤病”が蔓延した日本。人瘤病患者は「間引かれる人」を意味する「人間」という蔑称で呼ばれ、その処遇は日本全土で大きな問題となっていた。そんな中、かつて人瘤病の感染爆発があった海晴市で殺人事件が起きる。墓地の管理施設で人瘤病患者の顔が潰され、地下室では少女が全身を殴打され殺されていたのだ。容疑者は4人の中学生。さらに、事件の真相を見抜いた男は、逆上した容疑者のひとりに突き飛ばされ、机の角で頭を打って死亡してしまった……かと思いきや、死んだはずの探偵の身体に発症した、いくつもの“顔”が喋り始め――。(紹介文引用)
 
初・白井さん。
どれが良いか分からなかったので、とりあえずランキングにも入っていて開架に並んでいたこちらを。
 
いやあ、なんか想像していた以上に凄かった…。15年前、日本で感染爆発した「人瘤病」。感染者は全身に人面瘡が現れ、悪性の場合精神は破壊、さらに肉体が死んでもなお人面瘡は生き続ける。女性患者は「人間(にんげん)ヘルス」と呼ばれる人瘤病患者専門風俗店で風俗嬢として働かされる。政府は、患者から身を守るために人瘤病患者を傷つけた場合、罪には問わない法案が議決。
 
なんか書いててイヤになるけど汗、うーん、設定はこんな感じかな。もちろん登場人物もあまり普通の感覚はしておらず、教師が妊娠した生徒をリンチしたり、教壇で〇茎を弄っていたり、兄が人瘤病患者の妹の母乳を吸うシーンが出てきたりとなかなかに香ばしい。メインとなる舞台が二つあって、まず出てくるのが人間ヘルス「こぶとり姉さん」の従業員、カブやジンタ、マネージャーのポッポなど。変態客イモコのせいでお店が火災に遭ってしまい、一年後に復活してから新しい人瘤病患者を探すために累地区へ、そしたらなんだかんだあって従業員のジンタが殺害され、引き取った怪物級の人瘤病患者パルコは大暴れ。もう一つは中学生のサラ、ウシオ、クニオ、ミサオグループが巻き込まれる殺人事件。教師からの虐待やサラの親友ツムギ探しなどを経て、最後はカブらと接触、三人の殺害事件の犯人を色々な登場人物が色々違う推理をしていく、っていう。
 
とても大きな声で好きとは言えない。。。
が、人面瘡が潰れたり喋ったりするのが気持ち悪いだけで、いわゆるスプラッター系ではなかったのがホっとした。一つ一つのネーミングセンスや想像力は天才レベルだと思う。文章力もかなりのものなので、気持ち悪いわ~、不快だわ~、と思いながらも最後まで飽きずに読まされた。これだけ小説として完成されていたら、最後にばたんばたんと二転三転させ難解なロジックで畳み掛けなくても良かったと思うのだが。。せっかくの作品にケチをつけるわけではないが、かなり頭がこんがらがったのでだいぶ疲れた。
 
もうしばらくしたらまた1作読んでみようかな。元気な時に。