すべてが猫になる

ヤフーブログからお引越し。

文学少女対数学少女  (ねこ3.7匹)

f:id:yukiaya1031jp:20210314165641j:plain

陸秋槎著。ハヤカワ文庫。

高校2年生の“文学少女”陸秋槎は自作の推理小説をきっかけに、孤高の天才“数学少女”韓采蘆と出逢う。彼女は作者の陸さえ予想だにしない真相を導き出して…“犯人当て”をめぐる論理の探求「連続体仮説」、数学史上最大の難問を小説化してしまう「フェルマー最後の事件」のほか、ふたりが出逢う様々な謎とともに新たな作中作が提示されていく全4篇の連作集。華文青春本格ミステリの新たなる傑作! 解説:麻耶雄嵩(裏表紙引用)
 
陸秋槎さん二冊目。「元年春之祭」がなかなか印象的だったのと、解説者の名前を見てもらえれば読んだ理由は明白かと。この前に1作出ているようなのだが先にこちらを(いずれもシリーズものではないので問題なし、たぶん)。
 
4編収録の短編集になっているが、それぞれタイトルが「連続体仮説」「フェルマー最後の事件」「不動点定理」「グランディ階級」となっていて、もちろんなんのことやらサッパリ分からない。これは多分私のような数学オンチが手を出してはいけないやつ。ヒロインの1人、韓采蘆(かん・さいろ)が数学オンチの親友・陸秋槎(りく・しゅうさ)に数学薀蓄を延々披露するくだりが必ず入っているので、超絶難解。。しかし挫折しようと思わなかったのは、キャラクターの魅力や文章の読みやすさ、中国ミステリーでしか味わえないヘンテコな世界観ゆえのこと。ジャンルで言えばアンチミステリーだが、ライトノベル向きの可愛さ、親しみやすさがあり、まあこりゃ麻耶さん好きだろうなあと納得した次第。
 
それぞれのお話では文学少女・秋槎が書き上げた犯人当て小説を解き明かしたり、現実に起きた傷害事件を推理したりと各話飽きずに楽しめる。真相の持って行き方はどうしても変則的なのでそこは好みになるか。正統派でないことだけで限って言えば、麻耶さんやアントニイ・バークリーの系統。ん?私にぴったりではないか。
 
まあ数学薀蓄は置いといて、やっぱりこの作品でも印象に残るのは友人同士で死ぬほどの暴力を加えようとするシーンが多いことかな。。サディストなんだろうか。。。百合要素が入っているのだろうか。。。面白いんだけどやっぱりなんだかいびつ。。