すべてが猫になる

ヤフーブログからお引越し。

大鴉の啼く冬/Raven Black  (ねこ3.7匹)

f:id:yukiaya1031jp:20210213165804j:plain

アン・クリーヴス著。玉木享訳。創元推理文庫

新年を迎えたシェトランド島。孤独な老人を夜に訪れた黒髪の少女は、四日後の朝、雪原で死んでいた。真っ赤なマフラーで首を絞められて。顔見知りばかりの小さな町で、誰が、なぜ彼女を殺したのか。ペレス警部の捜査で浮かびあがる、八年前の少女失踪事件との奇妙な共通項とは?現代英国本格派の旗手が緻密な伏線と大胆なトリックで読者に挑戦する、CWA最優秀長篇賞受賞作。(裏表紙引用)
 
初読み作家さん。どっかのランキングに入っていた作品を読もうとしたらシリーズものだと分かったので1作目からと思い。<シェトランド四重奏>シリーズというらしい。ペレス警部シリーズ、ということでいいのかな。シェトランド諸島スコットランドの群島だそうで、ジャンルは流行りの北欧ミステリーですな。極寒の離島の閉鎖された静かな雰囲気がよ~~く出てて全体的には好み。悪く言うと、ちょっと地味かな。登場人物が多く、狭い街ならではの狭い人間関係が複雑。誰かと誰かが不倫してたり非行に走ったりするとすぐ全員にバレるし、よそ者や変人には冷たい。よそ者側が距離を置いているパターンもあるしね。基本平和だから、少女の行方不明事件や殺人事件に神経質になっている住民。疑心暗鬼になりすぎていて、証拠もないのに特定の人物を犯人扱いするのはいかがなものかと思うが。あとビックリしたのは、遺体を現場に一晩放置(シートはかけるが)する警察のやり方。。そりゃ寒いから大丈夫だろうけど、人道的にちょっと引いてしまった。こういうのも海外ものを読む面白さでもあるが。
 
全体を通して見ると、これといった盛り上がりはなく単調。でもそこがいい、としか言えないかな。犯人の動機などは理解できない心理だし被害者の女性にも問題はあるが、こういう腹黒さ含め終始陰鬱としたテンションなのが魅力かもしれない。のんびりと続編も追って行こうかしらね。