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罪と祈り  (ねこ3匹)

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貫井徳郎著。実業之日本社

元警察官の辰司が、隅田川で死んだ。当初は事故と思われたが、側頭部に殴られた痕がみつかった。真面目で正義感溢れる辰司が、なぜ殺されたのか?息子の亮輔と幼馴染みで刑事の賢剛は、死の謎を追い、賢剛の父・智士の自殺とのつながりを疑うが…。隅田川で死んだふたり。そして、時代を揺るがした未解決誘拐事件の真相とは?辰司と智士、亮輔と賢剛、男たちの「絆」と「葛藤」を描く、儚くも哀しい、衝撃の長編ミステリー!(紹介文引用)
 
 
う~~~~ん。貫井さんの最新作、やっと読めたけれど。正直、「面白かった」なのか「納得いかない」なのか評価の着地点が見いだせない。読ませる吸引力はさすがなので、大長編ながらもぐいぐい読まされた、だから面白かった、ということなのだろうが。
 
元警察官の父親が殺され、その原因を探ろうとする息子と現役警察官のその親友。その2人視点の現代パートと、2人の父親視点の過去パートの二重構成。恨まれるような人間ではなかった父親がなぜ殺されたのか、父親がスクラップしていた過去の誘拐事件と虐待死事件は関連するのか。それを調べていくうちに、息子は父親たちが犯した罪の大きさに打ちひしがれる…。という話である。天皇崩御下の自粛ムードやバブル時代の狂乱は自分の記憶にもしっかり刻まれているので、そこは雰囲気を理解しやすかった。不動産屋の酷い手口には唖然としたが…。登場人物それぞれの心情が丁寧に描かれ、子どもが死亡し身代金を奪われ犯人も捕まらなかった事件の経緯は悲惨、父親を殺した犯人の正体も意外。ストーリー構成は文句なしの出来なのに、やっぱり納得いかないのだ。動機である。
 
以下ネタバレ↓
未読の方はお気をつけ下さい。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
土地を取り上げられる→突然大金を手にした夫が無職になりパチンコ三昧→妻、精神を病んで赤ん坊を餓死させる→親しくもない地元の友人たち、バブルのせいだ!不動産屋のせいだ!不動産屋の子どもを2人誘拐しよう!
 
………まったくこの流れ意味がわからない。。
 
誘拐したら子ども死んじゃった→僕責任取って死にます、妻と子どもはまかせた!
 
………ええええ。。。。
 
真犯人の扱いの雑さ。
彩織さんを妊娠させて死なせたのはオマエだったのかー!→と、勘違いしバッグ振り回して殴ったら辰治自分から川にどぶん
 
……………えええええ。。
いきなり「姉のように慕っていた」と言われても!?
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
以上。
 
重厚な内容で、力作ではあるのだが、動機に関しては致命的だった。…。登場人物たちの心情、行動にまったく納得が行かず、最後の最後までその印象は覆らずで結果残念な感想に。これが本当に貫井さんの最後の作品なのだろうか。。。