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花咲舞が黙ってない  (ねこ3.8匹)

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池井戸潤著。中公文庫。

その日、東京第一銀行に激震が走った。頭取から発表されたライバル行との合併。生き残りを懸けた交渉が進む中、臨店指導グループの跳ねっ返り・花咲舞は、ひょんなことから「組織の秘密」というパンドラの箱を開けてしまう。隠蔽工作、行内政治、妖怪重役…このままでは我が行はダメになる!花咲舞の正義が銀行の闇に斬り込む痛快連作短篇。(裏表紙引用)
 
花咲舞シリーズ第2弾。ドラマタイトルをそのまま使用しちゃうっていうのがいいね。確か半沢直樹モノと同時に出たんじゃなかったかな。売れたでしょうな。
 
本書は短篇集ではあるんだけど、そのまま次の話に全て流れていくから長編みたいな感じ。東京第一銀行臨店指導グループの花咲舞と上司の相馬が二人して、銀行の不正や悪習を暴いていくっていう痛快劇。前作から13年ぶりってことで、「不祥事」ほどの派手さや極端な痛快さはない気がする。扱う物事は大きいんだけど。舞が大物に啖呵を切って一喝するっていうのは同じなんだけど、話がちょっと専門的というか難しくなってるかなあ。
 
情報漏えい、小切手トラブル、手抜き工事、大型倒産、不良債権、大口取引先の相次ぐスキャンダル、虚偽会見などなど、銀行の政治の悪がいっぱい。正義感の強い舞も、報告書を握りつぶされたり相馬が出張所へ飛ばされたりとなかなか手ごわい。新キャラかな?昇仙峡玲子という企画部特命のデキる女性が舞の敵役みたいに登場したり、なんと半沢直樹がちょこちょこ出てきたりと色々忙しない。ちょっと登場人物が多くて頭使うからしんどい話もあったけどやっぱりこのシリーズ面白い。