すべてが猫になる

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ケイトが恐れるすべて/Her Every Fear  (ねこ3.9匹)

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ピーター・スワンソン著。務台夏子訳。創元推理文庫

ロンドンに住むケイトは、又従兄のコービンと住居を交換し、半年間ボストンのアパートメントで暮らすことにする。だが新居に到着した翌日、隣室の女性の死体が発見される。女性の友人と名乗る男や向かいの棟の住人は、彼女とコービンは恋人同士だが周囲には秘密にしていたといい、コービンはケイトに女性との関係を否定する。嘘をついているのは誰なのか?想像を絶する衝撃作!(裏表紙引用)
 
「このミス」海外編2位作品。「そしてミランダを殺す」が良かったのでこちらも。
 
最後まで読みやすく面白く、さすがのノンストップサスペンス。語り手が順繰りに交代し、それぞれどういう人物なのか、どういう過去を持っているのかが順番に明かされる。ケイトは元恋人に殺されかけた過去を持ち、強迫観念に取りつかれている女性。そのケイトが会ったことのない又従兄・コービンと住居を交換するため単身ボストンへ。しかしケイトの隣室の女性・オードリーが何者かに殺害される。オードリーの住居の中庭を挟んだ真向かいに住むアランは、オードリーに惹かれ日々双眼鏡で覗き見をしていた。そしてコービンには、かつて友人と共に2人の女性を殺害した過去があり…。
 
ケイトが元恋人とトラブルになった過程や、コービンの恐ろしい過去が明かされるあたりは面白かった。が、あとは「それがどうバレるか」一本だったので意外性はなかったかなあ。刑事が真犯人に気づくくだりもそれほどクレバーな感じではなかったし。アランといい関係になるケイト自体、あまり信頼できる語り手とは言えないし、本人にも問題があるような。。だからラストの展開はあまりいいと思わなかった。しかし誰かがこっそり住んでても気づかれないってどんだけデカい家。。。