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黄昏の岸 暁の天  (ねこ4.4匹)

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小野不由美著。新潮文庫

驍宗が玉座に就いて半年、戴国は疾風の勢いで再興に向かう。しかし反乱鎮圧に赴いた王は戻らず、届いた凶報に衝撃を受けた泰麒も忽然と姿を消した。王と麒麟を失い、荒廃へと向かう国を案じる将軍は、命を賭して慶国を訪れ、援助を求める。戴国を救いたい―景王陽子の願いに諸国の麒麟たちが集う。はたして泰麒の行方は。(裏表紙引用)
 
十二国記新刊が十ン年ぶりに出たということで、新刊の舞台である戴国モノを絶賛再読中なのだが…戴国3作目(シリーズ8)の本書を読み終わってさあ記事を書き直そうとしたらなぜか記事がなかった。
 
まあそれはそれ、気を取り直して感想。
 
泰に王が立ってから半年が経過。悲しいことに、驍王が居なくなっていた。。文州の乱へ趣いた驍王は実は罠にかけられ、行方知れずに。なんと驍王に仕える将軍・阿選が謀反を起こしたらしい。同時に泰麒も何者かに襲われ蝕を起こし、蓬莱へ飛ばされてしまった(ここで「魔性の子」と繋がる)。命からがら慶国へ助けを求めた李斎は、景王陽子と対面する。しかし王は他国へ兵を率いて国境を越えてはならないという。
 
泰麒を失って身も心もボロボロの李斎が痛々しい。。でも景麒サマや陽子、延王や延麒が一体となって李斎を守り泰を救おうとする物語にやっぱり胸が熱くなった。陽子がガッツリヒロインばりに出てくるし延の2人も大活躍するしで、シリーズ全部読み返すべきだったと後悔したが…。陽子が自分の国もままならないのに泰を李斎を見捨てまいとする姿にやはり賢王となるべき器を感じたし、無口ながら景麒サマが泰麒に対して情を持っていることが伝わって思わずホロリ。あの小さかった泰麒がすっかり大人になってしまってこっちも寂しいわ。。角はなくなったし李斎は右腕失くなったけど、どうなるかなあ。
六太とかめっちゃいいやつじゃん。「人を助けることで、自分が立てることもある」名言だね。
 
そして本書で陽子がさらに好きになった。泰麒と同じ胎果だし、同じ蓬莱で育った同世代ってことで親近感湧くよねえ。ちょっとズレてるところもいいけど、最後の粋な計らいに「惚れてまうやろ~」って思わず身悶え。十二国記は空想的だけど、身分よりも人となりが全て決める、ってところが魅力的だと思う。日本より身分制度がハッキリしてるからなおさら。
 
驍王は結局出ないままだった。阿選が謀反を起こした動機って本当にああいう即物的なものなのかなあ。新作で全て明らかになるといいけど。泰国があまりにも他国に比べて色々劣っていて辛い。もうすぐ新刊の3,4も出るから期待しよう。他のも全部再読しようかな。今完全に十二国記モード。