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倒叙の四季 破られた完全犯罪  (ねこ3.7匹)

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深水黎一郎著。講談社文庫。

春夏秋冬と不審死が発覚!四人の人物がいずれも“完全犯罪完全指南”という裏ファイルに従い、物的証拠を残さずに遺恨ある相手を殺害したのだ。警視庁捜査一課・海埜刑事の聴取にも、物証がなければ捕まらないと否認を続ける犯人たちだが、海埜は丹念に真相を探っていく。完全犯罪を目論んだ隠蔽工作の結末は…。(裏表紙引用)
 
倒叙をテーマとした連作短篇集。春は縊殺・夏は溺殺・秋は刺殺・冬は中毒殺と4章に分かれている。それぞれ殺したい相手のいる主人公が裏ファイル「完全犯罪完全指南」を参考に完全犯罪を実行。しかし警視庁捜査一課の刑事コンビが犯人のミスを科学的捜査で暴き、論理的に追い詰めていくというスタイル。
 
裏ファイルは元免職になった元刑事が作ったものなので、過去の色々な犯人の失敗を踏まえて完全犯罪を可能とするというもの。でもやはり人間、調べれば露見してしまうミスがある。これは専門的知識がないと推理出来ないものが多いので不親切かな。勉強にはなると思うが。犯罪者たちが人間的にあほっぽいので、成功したとしてもいい人生を送れたとは思えないけどね。
 
そして最終章~エピローグでこの作品全体に仕掛けられた謎が解ける。ビックリしたけど、これ、かなりの深水ファンじゃないと「???」ではないだろうか。裏ファイルの真相は良かったので、まあ深水初心者向けと言えないこともないかな。トータルなかなか好みのジャンルだった。