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言霊たちの反乱  (ねこ3.7匹)

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深水黎一郎著。講談社文庫。

平和な休日、婚約者が突然怒り狂う。路上では外国人に殴られ、ファミレスでは麻薬取引現場に遭遇。ついに凶悪テロの首謀者として手配される。原因は全て言葉の聞き間違いと勘違いだった。古の人々が崇敬し畏怖した言葉に宿る「霊力」が現代人を陥れようとしているのか。驚愕の言葉トリック・ミステリに震えよ! (裏表紙引用)
 
深水さんの日本語ネタ短編集?こういうの書くんだ、深水さん^^;一篇目を読み始めたとき一瞬本を投げつけたくなったが、読んでるうちに結構楽しくなってきたという。。
 
「漢は黙って勘違い」
 いわゆる、聞き間違いネタ。「関を入れる(籍を入れる)」「若狭がいい(若さがいい)」などなど。主人公やその周りの人々の極端な聞き間違いによって、人間関係が崩壊していくお話。バカだよなあ、と思いながらもその果てにこんな結末が待っていたとは…ちょっと感心した。
 
「ビバ日本語!」
自称カリスマ日本語教師が外国人に日本語を教えるのがどんなに難しいかを滔々と語る話。ここに書いてある日本語の性質を読むだけで、どんだけ日本語が複雑かが分かる。「生」の読み方は158通りもあるってホント?それにしても、この主人公、カリスマと言う割に教え方がひどい。イライラするのは分からなくもないけれど、「ぱぱ父」はないだろう^^;英語が苦手でスミス氏との会話が成り立っていないのも面白かった。まあ向こうもひどいもんだけど。。
 
「鬼八先生のワープロ
文芸評論家の小田嶋はひどい悪筆で、ワープロが壊れては仕事にならない。そこで敬愛する鬼八先生のワープロを拝借することになったが…。「山田シフト」なんて初めて聞いた。どういう配列なんだろ。で、鬼八ワープロの誤変換が全部エロっていうなんだこのネタ^^;こういう文章に萌えるってよっぽどファンなんだな。。おおべしみが登場?してちょっとうれしい。
 
「情報過多涙腺刺激性言語免疫不全症候群」
要は「クサい言葉アレルギー」のことだそうな。友人の浅井が、テレビショッピングの台本を書いているので日常の言葉までお世辞大げさのオンパレード。主人公のアレルギーのひどさにビックリ。まさかこんな大事件になるとは。。でもテレビってこれぐらいやりそうだよね。。
 
以上。
まあ、深水氏のいつもの作風を期待しなければなかなか楽しめるのでは。サクっと読めるし、全部がなんとなく繋がってるのが良かった。おふざけ全開だけど、こういう言葉遊びって相当教養と発想力がないと描けないと思うので凄いのは凄いと感心した。