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屍蠟の街  (ねこ3.6匹)

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我孫子武丸著。双葉文庫

2025年―。ネットワーク上の仮想都市“ピット”は殺人や強盗が氾濫している無法地帯。現実世界の溝口&シンバを殺せば、賞金と名誉が手に入ると、多くのネットジャンキーが命を狙う。連続猟奇殺人鬼「ドク」に脳をコントロールされつつも戦いに挑む溝口。待望の近未来クライム・ノベル第二弾。(裏表紙引用)
 
我孫子さんのSF小説。知らなかった、「腐蝕の街」の続編だったことを。。読んではいるんだけど、大昔すぎて内容は銀河の彼方。なのでチョコチョコ人物関係が分からないところがあったな。まあ、ストーリーは把握できたので大きな問題はなさそう。
 
舞台は2025年。死の直前の意識を封じ込めたディスクが開発者の赤坂によりばらまかれ、そのデータを体験した者らが犯罪者菅野礼也の連続殺人をなぞり始めた。菅野の意識が脳内に入り込んでしまった刑事の溝口は操作を始めるが、ネット・シティ「ピット」内で同居人のシンバと共に懸賞金をかけられ、日本中のピットユーザーに命を狙われてしまい――。
 
またしても逃亡劇。フィリピーナの片山や、保護司の榛原など次々仲間を増やし日本中を逃亡する溝口たち。逃げる先々で、善良な味方が巻き込まれ殺されてしまうのやりきれない。。設定は2025年で、作品の発売は1999年だが全く色褪せていないのがすごい。我孫子さんはゲームに携わったりしているので先見の明があるのかもしれない。死者再生ビジネスというのもいずれは実現するのだろうか。コンビを組む男娼のシンバのキャラが魅力的で、クールで屈強ながらも守ってあげたくなる儚さがあるなあ。溝口とのBLと見紛うようなギリギリの関係もいいね。
 
悪役が同情の余地なしのクズなので、どんどん裏をかいていく緊迫感は爽快。少し消化不良な人間関係は、続編ありきだったからだろうな。執筆がストップしているのだろうか。。