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みんなの少年探偵団2  (ねこ4匹)

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有栖川有栖歌野晶午大崎梢坂木司平山夢明著。ポプラ文庫。

明智小五郎、少年探偵団、そして怪人二十面相…。いまだ多くの人々を魅了し続ける、江戸川乱歩の「少年探偵団」シリーズ。彼らの対決に胸を躍らせた、現代を代表する豪華ミステリ作家陣が集結し、愛と情熱を込めて書き上げた、珠玉のオマージュ小説アンソロジー第2弾! (裏表紙引用)
 
第一弾を読んでいないのだが…。好きな作家さんばかりだったのでコチラをお試しすることにした。表紙がいいね。私の世代はこのタッチを見ただけでワクワクするのよ。実は先月、ポプラ社の「怪人二十面相」を再読したばかりなのであった。
 
「未来人F」有栖川有栖
拘置所から脱獄した二十面相だが、明智小五郎はFBIからの依頼でアメリカの怪盗を捕まえるために海を渡っていた。時空移動機とか色々面白いな。色々な人物に変装してきた二十面相に対抗するための未来人…。いいねいいね。文体は完全にジュニア乱歩。展開が読みやすいところも含めて完全にモノにしてしまっている感じ。しかしメタ展開になるとは誰が想像しただろうか。。
 
「五十年後の物語」歌野晶午
現代と過去の回想の物語。かつての少年探偵団ごっこにハマっていた少年が体験した誘拐事件。実際にこういう子どもの勘違いからの暴走ってありそうだな。ビックリした。ガレージから脱出せんとする少年の冒険にはドキドキした。スマホの便利さよりも、ロープやバッチなどのアナログを使うのが流儀。結構泣けた。
 
「闇からの予告状」大崎梢
中学生の小雪の祖母宅にある宝石を盗むという二十面相からの予告状が。だがその宝石はレプリカだと言う。犯人はすぐ分かるが、小雪の正体に興奮した。その後登場した人物にもね。
 
「うつろう宝石」坂木司
成長した小林少年とのっぽの松ちゃん登場。松ちゃんは質屋を経営し、ニセ二十面相が盗難品を売りにくるのを待つ日々。明智小五郎と二十面相の老化を疑う小林少年にホロリくる。ちょっとこれはファンとしても複雑な気分になった。でも明智小五郎は永遠だ。
 
さすが平山さん…。ドロドロに溶けた人間との対決と人間模様がいい味出してる。平山ワールドだけど、ちゃんと少年探偵団してた。
 
 
以上。うーん、これ、どれも甲乙つけがたいんじゃないかな。全部面白かった。どの作家さんにも乱歩に対する愛が感じられるのが良かった気がする。単に模倣するのではなくて、自分のカラーを出していたのがプロだなと。似た作品がないし、現代の作家さんはすごい。このシリーズ?色々集めてみたくなったな。