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書店ガール5  (ねこ3.9匹)

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碧野圭著。PHP文芸文庫。

取手駅構内の小さな書店の店長に抜擢された彩加。しかし意気込んで並べた本の売れ行きは悪く、店員たちの心もつかめない。一方、ライトノベル編集者の小幡伸光は、新人賞作家の受賞辞退、編集者による原稿改ざん騒動などトラブル続きの中、期待の新人作家との打合せのために取手を訪れる。彩加と伸光が出会った時、思わぬ事実が発覚し…。書店を舞台としたお仕事エンタテインメント第五弾。文庫書き下ろし。(裏表紙引用)
 
書店ガールシリーズ第5弾~。
 
今回の主人公は彩加と伸光(!)。
 
エキナカ書店の店長に抜擢されたものの、お客は皆急ぎ足、自分のセレクトした文芸は全く売れない…。そんな彩加がライトノベルに注力し、お店に活を入れるまでのお話。
伸光パートは、ラノベ界に進出し新たな賞を立ち上げた編集部で大トラブル発生。果たして期待の新人のデビュー作は無事売れるのか。
 
とにも先にも、愛奈が図書司書になっていたのに驚いた。書店員さん一本だと思ってたなあ。と言っても最初しか出てこなくてガッカリ。この子好きなんだけどなあ。彩加はどうも、文芸文芸と言っている割に売れ筋のものしか知らないって言うし、なんか思想がグラグラな印象だった。硬質な本を好むという中年男性客に辻村さんの「朝が来る」を薦めたのもビックリ~。まあとても良い作品だけども。と、ちょっと前半ちょっとだけ印象が悪かったのだけど、客層に合わせたジャンルに力を入れ出したり、バイトの田中くんの正体を知ってから一生懸命応援したりとどんどん成長していった感。最初はうまくいかないことばかりで、ちょっと腐ってたのかもなあ。
 
で、こちらもあまり好きではないと公言してきた亜紀の夫伸光なのだけど。これがまあ、この人こんな熱血&愛妻家だったっけ?と思うほど良い男に育ったではないの。ベテラン作家を怒らせてしまって大問題になったわけだけど、一癖も二癖もある編集者たちをよくまとめあげたなあ~と思う。授賞者に対して、良い作品だからと一生懸命営業をかける姿にもホロリ。ホロリといえば、やっぱり田中くんの家族。まあ彩加のとこの客の正体は早々に見当がついていたけれど、お母さんもいいしなにより弟くんがいいね。兄愛。長年敵対していた家族がちょっとした衝突をきっかけに和解するって本当にあるからねえ。。しみじみと良かった良かった。1人の作家さんを売り込むってこんなに大変なんだね。という内幕も分かって勉強になる回でありました。