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虚実妖怪百物語 序/破/急  (ねこ3.7匹)

 

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京極夏彦著。角川文庫。

 

「妖怪や目に見えないモノが、ニッポンから消えている!」水木しげるの叫びとは逆に、各地に妖怪が現れ始める。背後には、あらゆる魔術を極めた魔人・加藤保憲の影が…。妖怪撲滅に動き出す政府。“妖怪狩り”を始める民衆。虚構と現実が入り混じり、荒んだ空気が蔓延する中、榎木津平太郎、荒俣宏京極夏彦らは原因究明に乗り出した。多数の小説家、研究者などが実名で登場し、物語は驚異の結末を迎える。京極版“妖怪大戦争”!(裏表紙引用)
 
「序」「破」「急」三冊を一冊にまとめた合本版。もちろん分冊版も売っているのだが、ファンが買うならこっちでしょ?読む隕石。読む凶器。これでも京極作品では1番厚い本ではないのだからね。ちなみに1388ページ。どうだすごいだろう。なにより読んだ自分がすごい。。腱鞘炎のおそれがあるので、バイク漕ぎながらとか外なんかでは読めないので日数かけて読める時にガーっと読んだ。妖怪ものってこともあるけど、ゆうても京極さんの文章だからサクサクと読めてしまう。
 
内容はというと、え~、1388ページ読んだとイキった割にあまり何も残っていない…。妖怪、妖怪、妖怪のオンパレード。そして京極先生はじめ荒俣宏さんや水木しげる大先生、綾辻さんに貫井さんに道尾さんに…そして貞子に鬼太郎に豆腐小僧にぬりかべにととにかく皆が知ってる妖怪と実在の人物総出演。荒俣さんや水木大先生は当然として、綾辻さんあたりも神様扱いされてて他のキャラとは別格になってるのが微笑ましい。そしてストーリーはもうぐっだぐだ。殺人は起きるし。最後の方になったらもうこっちはそれ忘れてたし。平太郎とかレオ✩若葉とか扱いがヒドすぎて泣けてくる。個人的にはこの2人がいなければ結構キツかったよね。。レオのおばかすぎるキャラは嫌われがちだけど私は好き。
 
妖怪ウンチクばっかりというだけじゃなくて、きっちりと現代への風刺みたいなものが入っているあたりは京極さんらしい。ほんと、今の時代、皆が敵を作って小さいことでギスギスしすぎだよね。。かと言ってユルくなりすぎるのも困りものだってことだけど、この結末を読む限りね。まあとにかく徹頭徹尾妖怪ざんまい。「賢いけど妖怪バカ」たちの愛すべき大行進でありました。