朝霧カフカ著。角川書店。
綾辻行人は、殺人事件の真相を見抜くと犯人が必ず事故死する異能を持つことから“殺人探偵”と呼ばれている。危険異能者を管理する異能特務課の新人エージェント・
辻村深月は、
綾辻の監視任務につくが、頭脳明晰で口が悪い
綾辻に翻弄されてばかりだ。そんなある日、
綾辻と辻村は、奇怪な殺人事件にまつわる謎解きを政府から依頼される。だがそれは、
綾辻の永遠の宿敵で、社会の敵でもある妖術師・
京極夏彦との命懸けの闘いの始まりだった―。スタイリッシュかつスリリングなアクション&ミステリ! (裏表紙引用)
漫画原作が有名なのでタイトルだけは知っていたが、このたび書店でこのような本を見かけ迷った末図書館で予約してみた。元の漫画が
朝霧カフカさん原案・原作で画は春河35さんなので、一般でいうノベライズよりは「原作」に近いものなのかも。
金田一少年の小説版みたいな感じ。
文章はとても読みやすく、キャ
ラクターも各先生のビジュアルイメージや性質を壊さないまま美化していてよくハマっていると思う。
綾辻先生が第一級危険異能者で、能力名が「Another」っていう笑。真犯人を推理すれば必ず事故死するという能力なので、冤罪は起こりえない。京極先生と仲が悪いっていうのが悲しいなーと思う一方、相手を心の底で認めている感じがするのがいいかも。探偵と悪役が対決する時って必ず一方が崖から落ちなきゃいけない決まりでもあるんだろうか…笑。
軽い小ネタを挟みつつ、アクションものながらもしっかりミステリしていたと思う。
辻村深月先生が結構いい役でガッツリ出てたり、
坂口安吾先生が役者だったらこの役やりたいよな、と思うようなミステリアスなキャ
ラクターで良かったなー。ただ
パスティーシュものの悲しさ、後半に行くまでにだいたい飽きてしまうっていう…。ミステリはミステリだったけど、やっぱ根っこにあるのがエンターテイメントでありアクションだから…雰囲気って大事。
しかしこの作者さん、小説や作家への並々ならぬ知識量を感じるけど…なにもの?
綾辻さんと京極さんを「外伝」とするあたり、「ツウ」だなあと思うのだけど。