すべてが猫になる

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ハロー、アメリカ/Hello America  (ねこ3.5匹)

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J・G・バラード著。南山宏訳。創元SF文庫。

22世紀のある日、探険隊を乗せた船はイギリスを出港し、崩壊し砂漠と化した合衆国のマンハッタン島に、一世ぶりに上陸した。密航者の青年は、自分がこの国の新たな支配者、第45代大統領となることを夢見るが……。生存者の残る諸都市を探訪し、アメリカの夢と悪夢の残滓と邂逅した探険隊の記録を通じて、予言者バラードが辛辣に描き出す、強烈な未来像。ネットフリックスで映像化決定! (『22世紀のコロンブス』を改題・文庫化)
 
前回読んだ「ハイ・ライズ」が読みやすく良かったので今度はこちらを。これにした理由?タイトルと表紙がカッコ良かったから。以上。

本作はバラードの作品の中でもさほど有名ではないようで、なるほど地味かもなあ…という印象。21世紀初頭、環境の変化によって砂漠化したアメリカ。のちにヨーロッパからアメリカ大統領を目指しやってきた青年と探検隊一行が大陸横断し狂気に蝕まれていくというお話。有名なホテルにそのまま宿泊したり自由の女神が倒れていたりと映像的。とはいえ中盤までは何事も起こらない(起こった後だからね)のでひたすら退屈だったが、歴代の大統領や往年の大物歌手などが出てきたあたりからバラードらしい世界観になってきた。描いている世界はアメリカへの果てしない夢だと思う。こういう感覚は今のアメリカ人が読んでも変わりなくあるのだろうし、普遍的なテーマなのだろう。再び現代に再販され読まれる作品というものはなんでもそうだ。