すべてが猫になる

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記号を喰う魔女 (ねこ2.3匹)

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浦賀和宏著。講談社ノベルス


中学生6人グループの確執。その内の一人、織田が遺書を残して彼らの目の前で
投身自殺をした。それをきっかけに諍いが起きる中、織田の遺志通りに彼らは
ある孤島へ向かう。そして彼らを襲う惨劇。死体に残された記号の意味は?
果たして、彼らは生き残れるのかーーー。


本書は一応安藤君にかかわる人間が出て来ますが、直接「安藤直樹シリーズ」に
関係したストーリーではありません。とはいえ、当シリーズの主要人物の過去に
まつわる物ではあるため、やはり順番に読むべきでしょう。間違っても、本書が
単独ものだろうという理由で浦賀デビュー本にするのはやめていただきたいかも。

人間関係を把握、うんぬん以前の問題。
書き出しが、
「子供は、親の食べ物じゃないよっ」
……………………………。どうだ、すごいだろう。
さらに補足してしまうと、本書だけで浦賀氏の仕掛け、魅力を伝えるのは難しいのです。


しかし、
禁治産者なら、立案して、懐柔して、奸計に、嘯いて、諾々と、跋扈して。
これが中学生が普通に会話で使う言葉でしょうか。。。
そんなに知ってる言葉を必死に披露しなくてもいいんじゃないかしら、浦賀さん。
地の文だけなら作品の色づけとして有効でしょうが。
リアリティという次元の話ではなく、単純に文章の力量の問題。
受け入れにくい精神論、ストーリー世界であるのは決してカニバリズム云々を素材にしている
からではない、と思うのですが。


人間は必ず何かに依存して生きていると思う。
あるいは依存してこそ生活が成り立つ、とも言える。
自分が依存している物に対し進言を受けるのは慣れっこですが、

「状況に依存するな」

こりゃ耳が痛い。