講談社ノベルス。
連作短編集です。
<カストル>が主催する、作家を目指す6人の男女が集まる「星の海チャットルーム」。
彼らは同人誌を作る仲間でもあった。互いの本名、素性は一切秘匿(カストル以外)という
約束のもと、彼らは日々チャットでの親交を深めて行く。
そんな彼らの身に起きた事件を、カストルが推理、解決。
そして、最終章で掟破りのオフ会、その理由とはーー。
短編集だと知らずに読み始めたものだから、1話目の「スピカ」の事件で
かなり力入れて読んでしまいました。。だってくろけんのことだから、また
ややこしい結末に違いない、と思って。。。
こういう安楽椅子探偵ものはストイックで好きなんですが、さらにインターネットという
設定柄、正体不明というのがさらにいいですね。
1話目の「フィンガーマジック」は設定が良かったです。派手さはないものの、
意味不明なバイト内容に破格の給料というのもなんだかホームズの某作品みたいで。
その割に真相が庶民的というか低俗的というかなんというか^^;。
2話目の「殺人ごっこ」がお気に入りです。
有栖川氏「月光ゲーム」を彷彿とさせますが、これだけの伏線をよくぞ、というか。
オチには不覚にも感動いたしました。決して新しくはないんですけど、好きなんでこういうの。
3話目の「キューピッドは知っている」
これはまあ、手記から言動の矛盾点を指摘していくミステリ。
素人がそこまでカンがいいかどうかはともかく、女同士のいさかい、嫉妬は面白いですね^^;。
最終話「五人プラスひとり」
ちょっとびっくりいたしました。今まで素性を隠していたメンバーがオフ会ですもの。
ちゃんと全員集まるもんなんですねー。(小説ですからね)
何かあるなあ、という期待通り、いえそれ以上の隠された真相と欺瞞。
ええい、油断していました。わけわかりませんでした^^;。え、誰が誰??慌てて再確認。。
全ての無関係らしき話をつなげるだけでなく、新たな事件を加え二転三転。
うーん、短編一つ描くだけでも大変そうなのにさらにこんな別の話の為の伏線まで
張っていたとは。
若干の物足りなさは否めないものの、及第点の作品ではないでしょうか。
ただ、<ベガ>作品の「NEW SEASON」は私はちょっと…………^^;。すいません。