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仔羊たちの聖夜 (ねこ3.8匹)

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角川文庫。


タックシリーズ角川文庫長編第2弾。(色んな言い方がある^^;)


キャンパス4人組、タック、タカチ、ボアン先輩、ウサコが初めて出会った
1年前のクリスマスイブ。ボアン先輩の発案で、マンション1階に店舗をなす
コンビニエンスストアでそれぞれのクリスマスプレゼントを購入することになった。
そして、そのマンションから女性が転落。その現場に居合わせたタック達は、
女性が所持していたと見られるプレゼントを拾う。

過去にも同じ場所から同じようにして不可解な転落事故?が起きており、
4人は女性の身元をたどり始める。二つの事件は関連しているのだろうか。
そしてまた、新たな事件がーーーーー。


愛すべきキャンパス4人組と、登場する人間達の情けなさがもの凄いコンストラスト。
本作に出てくる犯罪者(ではない人もいますが)達の愚かさは尋常ではない。

ある人物が、タカチ、タックコンビに「人の親になったこともないくせにえらそうな」
などという発言をする。勝ち誇ったかのように。

必ずしも、人格というものは「経験」により培われるものではないと思う。
例えば。
飲酒運転をし、交通事故を起こした者がいるとする。そこで90%の人間は後悔し、
反省し、以後の運転では飲酒をしないであろう。
これは、経験により学習したということになる。
しかし。
では、飲酒運転をしないと決めている人間は果たして全員事故経験者だろうか。
違うと思う。経験はなくとも、それが愚かであることを「知って」いるのだ。

愚かさゆえに、身内ばかりか見知らぬ人間までも傷つける。
学習するならまだいい。
本作に出て来る人物は、さらにまた同じ間違いを起こす。


タカチやタックがどんな辛い過去を背負っているのか、現時点での自分にはまだ
わからない。これから先、彼らは何度も傷を負うのではないだろうか。

愚かな人物を登場させることで、彼らの魅力が引き立ち、目が離せなくなるという
光原百合さんの解説には大きく賛同したい。

でも、私はタック派です^^;。