すべてが猫になる

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幻影のペルセポネ (ねこ3.8匹)

文藝春秋


プログラマー各務の殺害の真相を探るため、来栖は通信機器とCGを駆使した
ヴァーチャルプラネット、「惑星ペルセポネ」にログインする。
「クリス」としてその仮想世界へ乗り込んだ来栖は、いきなり密室殺人死体に
遭遇。そして、次々と現れる仮想のキャラクター達。
やがて来栖は、各務がペルセポネで操っていたキャラ、「ノリリン」もこの
空間で殺されていたことを知りーーーー。


いやあ、こいつぁすごい。
何がすごいって、設定が面白い。自分の分身(アバター)を作成し、ネット上で
仮想世界にて別の人生を楽しむという奇抜な世界に、現実との事件を絡ませて
進んで行くこのストーリー。ともすれば、専門外の人間に理解不能になってしまいがち。
しかし、くろけんの柔軟な「ルール」説明がストーリー進行とともに丁寧に語られ
わかりやすく入り込むのが容易いです。
SFミステリにも言えますが、(これもそうかな?)下手をすると「なんでもありじゃん」に
なってしまいかねないリスクを自ら「設定から生ずるルール」を付随することによって、
その形態をキープすることはミステリでは不可欠でしょう。


ミイラ取りがミイラになってしまった感のある展開も、さすがくろけん、
せつな~~~い恋愛に生かしてしまうとは。

ご都合主義でもいい。
これをハッピーエンドにして何が悪い。