すべてが猫になる

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フレームアウト (ねこ1.9匹)

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生垣真太郎著。第27回受賞作。


舞台はアメリカはニューヨーク。
映画編集者デイヴィットが観たのはリアルな「スナッフ」ビデオだった。
出演女優アンジェリカと、失踪したもう一人のアンジェリカの行方は!?


最初に、「スナッフビデオ」とは何ぞや!?という方の為に軽く説明を。
「スナッフビデオ」とは、現実の殺人シーンをおさめたビデオのこと。
ーーーーーと、思っていたのですが。微妙にソレは違うとのこと。
「公開」を目的とし、映画作品として撮られたソレを指すらしいですよ。マニアというか
そういう裏商売組織?があるとのことで。現実にあるかどうかまでは不明。


まあそれはさておき。

こういう、メフィスト賞のレベル低下を如実に現してしまうような作品はちょっと
どうかなーと思いますな。

仕掛けがあるな、というのがバレバレな構成と記述は目をつぶるとしても、
トリックがもう使い尽くされているものだったというのがね……。
これに驚愕する人はミステリファンにはいないかも。
しかも、内容がほとんど「スナッフビデオ」に重点を置かれず、映画の蘊蓄で
占められているので退屈きわまりない。

この翻訳もののような文章と、殺伐とした雰囲気は評価できるのですが。
ラストを「真相を登場人物がセリフで延々と理屈で説明する」んじゃなくて、
せっかく作った破壊的な世界観でまとめてしまった方がまだ一つの物語として
読めるものがあったのでは?