すべてが猫になる

ヤフーブログからお引越し。

2016-01-01から1ヶ月間の記事一覧

乙女なげやり  (ねこ3.8匹)

三浦しをん著。新潮文庫。 ひとはいつまで乙女を自称しても許されるものなのか。そんな疑問を胸に抱きつつも、「なげやり」にふさわしいのは、やっぱり乙女。熱愛する漫画の世界に耽溺し、ツボをはずさぬ映画を観ては、気の合う友と妄想世界を語り合う。気の…

新月譚  (ねこ3.7匹)

貫井徳郎著。文春文庫。 美貌と壮絶な作品世界で一世を風靡した作家、咲良怜花。だが彼女は突如として筆を折った。なぜ彼女は執筆をやめたのか。彼女が隠し続けてきた秘密とは何か。沈黙を破り、彼女は語り始める―目立たない娘だった彼女を変貌させた、ある…

幽談  (ねこ3.7匹)

京極夏彦著。角川文庫。 怖いものとは何だろう。本当に怖いものを知るため、とある屋敷を訪れた男は、通された座敷で思案する。完全な暗闇の世界、思いもよらない異形のモノ、殺意を持った猛獣や殺人鬼、己が死ぬこと、幽霊―。不安でも嫌悪でも驚きでも不思…

奇妙な道/Strange Highways (ねこ3.6匹)

ディーン・クーンツ著。田中一江訳。扶桑社ミステリー文庫。 酒におぼれる人生の敗残者ジョーイ。ある日彼に、父親が死んだとの知らせが届いた。驚いたことに父親はジョーイに巨額の遺産を遺しているという。いぶかりながら故郷に向かう彼が車を進めた道のそ…

微笑む人  (ねこ2.5匹)

貫井徳郎著。実業之日本社文庫。 エリート銀行員の仁藤俊実が、「本が増えて家が手狭になった」という理由で妻子を殺害。小説家の「私」は事件をノンフィクションにまとめるべく取材を始めた。「いい人」と評される仁藤だが、過去に遡るとその周辺で、不審死…

暗くて静かでロックな娘  (ねこ4.2匹)

平山夢明著。集英社文庫。 目と耳が不自由な美女と、何の取り柄もない男の純愛を描く表題作。ただの筋肉バカとなってしまった元アメフト選手の兄を持てあます弟の苦悩(「兄弟船」)。過去に人身事故を起こして人生を狂わせた男がたどる不幸の連鎖(「悪口漫才…

その可能性はすでに考えた  (ねこ4.2匹)

井上真偽著。講談社ノベルス。 かつて、カルト宗教団体が首を斬り落とす集団自殺を行った。その十数年後、唯一の生き残りの少女は事件の謎を解くために、青髪の探偵・上笠丞と相棒のフーリンのもとを訪れる。彼女の中に眠る、不可思議な記憶。それは、ともに…

トム・ゴードンに恋した少女/The Girl who Loved Tom Gordon (ねこ2.8匹)

スティーヴン・キング著。池田真紀子訳。新潮文庫。 深い深い森の始まりの地で、9歳の少女トリシアの試合は開始された。家族で来たピクニックが、いつしか迷い込んだ巨大な森でのサバイバルゲームと化していたのだ。離婚した両親。母と喧嘩ばかりの兄。うん…

終点のあの子  (ねこ3.8匹)

柚木麻子著。文春文庫。 プロテスタント系女子高の入学式。内部進学の希代子は、高校から入学した奥沢朱里に声をかけられた。海外暮らしが長い彼女の父は有名なカメラマン。風変わりな彼女が気になって仕方がないが、一緒にお昼を食べる仲になった矢先、希代…

残り全部バケーション  (ねこ3.8匹)

伊坂幸太郎著。集英社文庫。 当たり屋、強請りはお手のもの。あくどい仕事で生計を立てる岡田と溝口。ある日、岡田が先輩の溝口に足を洗いたいと打ち明けたところ、条件として“適当な携帯番号の相手と友達になること”を提示される。デタラメな番号で繋がった…

虚言少年  (ねこ3.7匹)

京極夏彦著。集英社文庫。 オヤジ臭く、自他ともに認める嘘吐きの内本健吾。モテたいのに女子ウケしないことばがりをし続け、味のある面白さを持つお坊ちゃまの矢島誉。人心を掌握する術と場を読む能力に長け、偏った知識を持つ京野達彦。「馬鹿なことはオモ…