すべてが猫になる

ヤフーブログからお引越し。

~2021すべ猫ランキングがすごい~

どうも皆様こんにちは。今年も大変お世話になりました。2021年最後のこの日をどうお過ごしでしょうか。わたくしはと言えばこれを書いている今、12月30日の夜でございます。アメトーークを観ながらリビングでのんびりくつろぎ中。今年はついに(?)義母が「手が震えて包丁が握れなくなった」ので、おせち11品目すべて私が作ることになりまして。昨日、今日、明日とおせち作りに勤しんでおります。面倒で日持ちのするほとんどのものはもう昨日のうちに作ってしまいましたが。張り切りすぎて鼻血はドバドバ出るわ里芋のネバネバで指切るわといっときキッチンが殺人現場のようになりましたがなんとか無事佳境を迎えそうです。

 

生活のほうは、まあちょっとずつ世の中も変わって来たので、ここ数ヶ月で数回映画に行ったりお笑いライブに2回行ったりちょこちょこ活動を始めつつあります。函館にも行ったはずなんですが記憶が薄いのはなぜでしょう。。あとモデルナの後遺症で何ヶ月もずーーーーっと左腕が激イタで治る気配がありません同じような方いますか。

 

さて、まえがきはこんなもんで良いでしょう。

 

早速?今年のランキングを発表したいと思います。

今年読んだ本は160冊(うち海外もの35冊)、上下巻は1冊扱いで。

記事にしなかった本は4冊かな。(特に深い理由はないのですが、1年のうち数日、どうしても気分的に記事が書けなくなったり)

実は、再読頑張ってます。S&Мの続きとVシリーズ全作、百鬼夜行シリーズを陰摩羅鬼の暇まで、クリスティ数冊読みました。結構すごいでしょ。だから実質200冊以上読んでるかな。

挫折本はほぼナシかな?もう最近は冒険をしなくなったので世界が狭いです。その分ハズレにも当たりにくいという。

 

ではまいります。

<国内編>

1.あと十五秒で死ぬ  榊林銘

2.絶叫  葉真中顕

3.兇人邸の殺人 今村昌弘

4.畏れ入谷の彼女の柘榴 舞城王太郎

5.贖罪の奏鳴曲 中山七里

6.むかしむかしあるところに、死体がありました。 青柳碧人

7.medium 霊媒探偵城塚翡翠 相沢沙呼

8.下町ロケット ヤタガラス/ゴースト 池井戸潤

9.鳩の撃退法 佐藤正午

10.メルカトル悪人狩り 麻耶雄嵩

 

<海外編>

1.ストーンサークルの殺人 M・W・クレイヴン

2.スティール・キス ジェフリー・ディーヴァー

3.狂人の部屋 ポール・アルテ

4.ワニの町へ来たスパイ ジャナ・デリオン

5.ヨルガオ殺人事件 アンソニーホロヴィッツ

6.自由研究には向かない殺人 ホリー・ジャクソン

7.彼と彼女の衝撃の瞬間 アリス・フィーニー

8.ロンドン謎解き結婚相談所 アリスン・モントクレア

9.ロボット・イン・ザ・ガーデン デボラ・インストール

10.ザリガニの鳴くところ ディーリア・オーエンズ

 

いかがでしょうか。世間のランキングと近いものもあったり遠いものもあったり。国内編の1位は、ランキング本で意外と下位だったのが残念でした。読む人がもっと多ければ、、と思ったりしますが。今年は新たにシリーズものにハマったりもしたので、代表作として1作目をランクインさせております。国内編の5、海外編の1、4、8、9なんかがそうですね。舞城さんのは「キミトピア」も同じぐらい良かったですが、新作のほうに入れました。

 

今年は以上です。みなさんのランキングも、今年も楽しみにしております。

これからもバリバリ読書しますので変わらぬお付き合いをお願いいたしますう。

放課後に死者は戻る  (ねこ3.9匹)

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秋吉理香子著。双葉文庫

ある夜、教室の机に入った手紙で呼び出された僕は、崖から突き落とされた。目覚めると、冴えないオタクだったはずが、巻き添えになった美形の男子高校生の姿に変わっていた―元いたクラスに転校生として潜入した僕は、入れ替わった姿で犯人捜しをはじめる。いったい誰が僕を殺したのか?そんな僕に警告を発するのは何者か?初なさと驚きに満ちたラストが待つ傑作青春ミステリー!(裏表紙引用)
 
「暗黒女子」と対になっているような表紙だが、全く内容は関係ない。共通点は学園ミステリーだということぐらいか。こちらは男子のスクールカースト、生まれ変わり、犯人探しがテーマ。
 
冴えない鉄道オタクの小山のぶおが何者かに呼び出され、崖から突き落とされた挙句目が覚めたら超絶イケメン高橋真治と入れ替わっていた、という設定。容姿が違うというだけでこれだけ周りの扱いが違うのか、という小山のぶおの気づきに注目した。だけど実際は見た目ではなく、目つきや歩き方、性格に問題があった。感じ悪い、と思っていたイケてる男子生徒や地味な女子も、実際話してみるととても魅力的でいいやつだったという展開も面白い。親友、母親、すべての人びとを疑える犯人探しミステリーとしてもなかなか意外性があって楽しめたが、小山のぶおの再生物語としての要素のほうが強い。割と綺麗事として爽やかに感動的に終わるあたり賛否が分かれそうだが(これは男子だからかなあという思いが頭をよぎった)、自分は素直にいい話として受け止めた。黒さも抑え目だし、秋吉さんの読んだ作品の中ではこれが1番好きかなあ。

悪霊の島/Duma Key  (ねこ3.8匹)

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スティーヴン・キング著。白石朗訳。文春文庫。

その島には何かがいる―事故で片腕を失い、孤島に移住したエドガーは、突如、絵を描く衝動に襲われた。意思と関わりなく彼の手が描いたのは、少女と船の絵。これは何を意味するのか。夜ごと聴こえる謎の音は何か。そして島に建つ屋敷が封じる秘密とは。巨匠が久々に放つ圧巻のモダンホラー大作。恐怖の帝王、堂々の帰還!(上巻裏表紙引用)
 
キングのホラー大長編。やっぱキングはホラーがいいね、お家に帰ってきた感がする。
 
さて上下巻1100ページ弱、面白いけど一気読みとはいかず5,6日かけて読了。トラック乗車中、クレーン車に車ごと押しつぶされた建築会社社長のエドガーは、命は助かったものの右腕を失い、脳を打ちつけたことによる言語障害を発症してしまった。妻への暴言と暴力による離婚が成立し、失意のエドガーは孤島デュマ・キーへ一年間移住することに。そして突然絵を描くことに衝動をおぼえたエドガーは次々と作品を完成させ、やがてエドガーの作品は美術界を揺るがすことに。しかしエドガーに身についたのは絵を描く能力だけではなかった……。
 
クレーンに潰される描写がスローだったり轢かれた犬を絞め殺したりと、前半はさすがの迫力。片腕と妻を失った男の絶望と孤独がひしひしと伝わるのもいいし、やがて隣に住む謎の男と絆を深めていく過程も惹きつけられる。女主人・エリザベスのキャラが特にいいね。娘のイルサとのいい関係もなごむなあ~。
 
エドガーの描いた絵が現実になったり、過去にこの島で何が起きたかが分かったり、最後には仲間たちと一緒に悪霊と対決したり。なかなか盛り上がるし、話があっちこっちに飛ばないので読みやすかった。ずっと同じ話なので、飽きるといえば飽きるけども。。

これは経費で落ちません!5  (ねこ3.8匹)

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青木祐子著。集英社オレンジ文庫

真夕が経理部に異動してきて一カ月半。異動直後にミスをしてからは、数字が怖くて仕方がない。そんな真夕のストレス発散を兼ねた趣味は、ヴィジュアル系バンドの追っかけだ。イチオシはCAROLINEのボーカル“アレッサンドロ”。追っかけ仲間からアレッサンドロも参加すると噂の、複数バンドの合同打ち上げに誘われ?森若さんをとりまく天天社員の人生模様。(裏表紙引用)
 
おおぅ、第5弾は「これ経」シリーズ準レギュラーたちを主役にしたスピンオフ集だった。1~4までに出てきた森若さん視点のエピソードが出てくるので、あ、これ知ってる話だと思い出したり思い出さなかったりしながら楽しむ。
 
佐々木真夕 初恋アレッサンドロ」
経理部の新人・真夕ちゃんの奮闘記。ビジュアル系バンドのファンだったんだ、真夕ちゃん。。この年でバンドマンにマジ恋ってちょっと成長が遅いな、と思ったりしつつ、どんくさいけど真正直な真夕ちゃんを応援。真夕ちゃんが悪いんだけど、仕事であれ怒鳴る人(特に男性)嫌いなので勇太郎のイメージダウン。でも勇太郎は真夕ちゃんを嫌ってはいない模様。
 
「山崎柊一 カラークリスタル」
出来る営業マンみたいだけど、誰だろうこの人。覚えてない。お得意先の女性に気に入られ大きな仕事を手にした柊一だけど、その女性の娘と交際していることがバレたら大変。特に何も感想はないかな。勝手にやってくれという感じ。
 
「平松由香利 ゾンビと嘘と魔法の笛」
マナー講師の愛美にお金の無心をしているところを森若さんに目撃された時の裏話だー!実は立場が逆だったっていう。それにしても愛美、頭おかしいんじゃないの。お金借りていて(しかも100万円)なんでそんな上から目線なのか。。ハッキリ言えない由香利にもイライラ。千晶のメモに「必死だな(笑)」って書いたのお前やったんかい。30後半でのうまくいかない婚活にイラつくのは分かるけども、マッチングしたゾンビーノさん、いい人だと思うけどな。
 
「中島希梨香 それでもあたしは男っぽい女」
「あたし男っぽいから損してる」が口癖の希梨香登場~~!美華さんに「あなたは別に男っぽくないと思いますよ」と言われたこと根に持ってるなあ。いわゆる「自称サバサバ女」ってやつだもんね、希梨香は。感情的になるところとか人の悪口や恋バナをロッカーで話しまくるところとか、男相手に胸元の開いた服をわざと着るところとか、どこが男っぽいねん!って思うけども(笑)。それでも仙田、馬垣、村岡課長のやりくちはひどいと思った。このシリーズで1番腸煮えくり返ったかも。。負けないで欲しいぞ。(でもインフルエンサーに商品押し付けるのはどうかと。あげるのはいいけど、SNSにアップするかどうかは本人の勝手じゃん)
 
「田倉勇太郎 三十八歳の地図」
4巻で織子との不倫が発覚した勇太郎の恋と経理のドタバタ。あんま勇太郎好きじゃないからなあ、どうかと思うよこの結末は。。
 
あとは「エピローグ~いつもの森若さん~」も収録。
面白かったけど、やっぱり森若さん視点の話が読みたいな。太陽もほとんど出て来なかったし。あと3冊(現時点)、ガーっと読んじゃお。
 
 
 
 
 

猫のお告げは樹の下で  (ねこ4匹)

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青山美智子著。宝島社文庫

ふと立ち寄った神社で出会った、お尻に星のマークがついた猫―ミクジの葉っぱの「お告げ」が導く、7つのやさしい物語。失恋した相手を忘れたい美容師、中学生の娘と仲良くなりたい父親、なりたいものが分からない就活生、夢を諦めるべきか迷う主婦…。なんでもない言葉が「お告げ」だと気づいたとき、思い悩む人たちの世界はガラッと変わっていく―。あなたの心もあたたかくなる連作短編集。(裏表紙引用)
 
青山さん3冊目。
「お探し物は図書室まで」「木曜日にはココアを」を読んでお気に入りになった作家さんなんだけども、3冊目を読んで本格的にファンになったかも。1番良かった。
 
小さな神社に住む(?)ハチワレ猫の「ミクジ」からタラヨウの葉に書かれたメッセージを受け取ると、それぞれの人生で迷っていたものやくすぶっていたものがみるみるイイ感じになっていくというファンタジードラマ。それはとても身近なもので、決して選ばれた人間や特別才能や運がある人びとの悩みではない。だけど自分は凡人だとラベリングしているのは自分自身。ミクジのメッセージを運良く受け取ったからとんとん拍子に幸せになるのではなくて、それぞれがそれなりの障害や試練を自分で乗り越えていくのがいい。思い込みというのはとても根深いもので、「あの人はこう思っているのだろう」という他人への決めつけがどれほど見当違いのものかは私自身も身を持って経験しているから分かる。いい意味でも悪い意味でも。みんな、会話が圧倒的に足りないんだよね。特に就活中の青年がギターで変わった「ポイント」、プラモデルに夢中になりすぎて離婚された男の悲哀と喜びを描いた「タネマキ」、転校先でイジメに遭っている少年と教師たちとの交流が温かい「マンナカ」が好み。
 
ミクジもクールなのか甘えたなのかよくわからんところがなんとも可愛かったし、指南役である宮司さんも肉まんが冷めるのを気にしたり実は神職と中華料理屋を掛け持ちしてたりとキャラが立ってる。そして「お探し物は~」の小町さんが登場。すぐわかった。。やっぱり一貫してるなあ、話し方とか性格も。
 
このミクジもの、シリーズ化してくれないかなあ。ライトなお花畑小説に見えて内容はなかなか人生の真理を突いているよ。

諦めない女  (ねこ3.8匹)

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桂望実著。光文社文庫

母親がスーパーで買い物をするわずかの間に、六歳の少女が忽然と姿を消した! 十二年後、フリーライターの飯塚桃子は、事件についての本を書き上げるため、当事者や関係者たちへの取材を重ねていく。 それぞれの人物の言葉から浮き上がってくる驚くべき真実、そして少女と母親を待ち受ける運命とは? 一章ごとにがらりと変貌を遂げてゆく極限のミステリー!(裏表紙引用)
 
初・桂望実さん。
べるさんのところで何年も前から気になっていた作家さんに挑戦。本当は「県庁の星」とか「嫌な女」とかを読みたかったのだけど、見当たらなかったのでとりあえず目についたこちらを。どれも面白いと聞いていたし。
 
で、内容。
ライターの飯塚桃子が12年前に起きた少女失踪事件について関係者にインタビューしていくという体裁。6歳で忽然と姿を消した沙恵の母親・京子は何年経っても娘の生存を信じ、1人ビラを撒くなどの活動を続けていた。やがてそれは狂気に変わってゆく…。
 
後半ほとんど一気読みした。沙恵らが陥った境遇に驚いたし、さらわれた子どもたちの異常な生活にも心を持って行かれ、一体京子や沙恵はこれからどうなるのかと読む手が止まらない。京子の言動や行動はほとんど異常だけれど、最愛の娘を奪われたのだから同情の余地は充分にあるかな。イライラするけども。これまた娘を諦め若い女と再婚し子どもをもうけた夫も酷い人間のように描かれているけれども、これまたしょうがないのかな、と思ったりする。悪いのは圧倒的に犯人であって、どちらも運命に抗おうとする不幸な人びとの話であることに変わりはない。京子の義母や姉は虫が好かなかったし、ライターの飯塚に関してはもう少し違う人物像にできなかったのかな、と思わなくもないが。ちょっと起きた事件に対して軽薄というか、性格の歪みを節々に感じる。彼女も毒親を持ち人格形成に色々影響はあったようで気の毒ではあるが、それならそこのところをもっと掘り下げても良かったような。彼女に対しての印象が悪いまま終わってしまった。まあ桂さんの作風をまだ知らないのでなんとも。タイトルの「諦めない女」が誰にかかっているのか、が分かるラストは良かった。最初からずっと昭和っぽい古いタイトルだなあと思っていたので腑に落ちた感じ。帯に「三度驚く!」と煽ってあったのだが、一度目は子どもたちの行方、二度目はプロローグの京子の境遇の種明かし、あと一つはなんだろう?
 
うん、面白かった。読みやすいし過度な不快感もないし好きかも。原田ひ香さんと合わせてどんどん読んでいこうかな。

三千円の使いかた  (ねこ3.8匹)

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原田ひ香著。中公文庫。

就職して理想の一人暮らしをはじめた美帆(貯金三十万)。結婚前は証券会社勤務だった姉・真帆(貯金六百万)。習い事に熱心で向上心の高い母・智子(貯金百万弱)。そして一千万円を貯めた祖母・琴子。御厨家の女性たちは人生の節目とピンチを乗り越えるため、お金をどう貯めて、どう使うのか?(裏表紙引用)
 
初・原田ひ香さん。知らない人のブログでたまたま知って、面白そうな本がたくさん出ているようなので適当にコレを選んでみた。
 
御厨家の長女(真帆)、次女(美帆)、母(智子)、祖母(琴子)、三世代に渡る女性たちの、それぞれのお金の使いかた。基本的に、経済的にゆとりのない人びとを描いているので、だからこそ性格や状況次第で結果が違ってくるのが面白い。月収23万円の消防士と結婚し娘をもうけたしっかり者の長女、中古の一軒家を買って犬と暮らすために一千万の貯金を始めた次女、自身にがんが見つかり、友人が熟年離婚し、自分の夫が家事を全くやらないことに不満を抱き始めた母、73歳にして老後の資金の不足が気になり職探しを始めた祖母。
 
次女の美帆は節約のためと言いながら弁当箱や貯金箱や無駄な食材を買いセミナーに通うなどして「ああ、お金がないと言っている人はこういうからくりでお金がなくなるんだな」と思わせてしまう。寄ってくる男もそれなりに安い感じがして、近くの親戚にいたら説教したくなるタイプかも。
 
琴子と鉢植え友だちになった40代のフリーター、安生の章はいまいちよく分からなかった。恋人に子どもが欲しいと言われて海外に逃げるとか、旅行で知り合った若い子と一回関係を持って妊娠させてしまうとか、こういうダメンズに惹かれる女性が心の底から理解できない私としては、安生に終始イライラ。
 
長女の真帆はしっかりしているので何の問題もなさそう。要は友人の目を気にするかしないか。女って、選ぶ男次第でここまで人生に差がついてしまうのか、とこの本を読んでも思うし自分のリアルでも思う。祖母の琴子もそうよね。73歳で働く意欲があって元気なのはいいな。
 
どの登場人物に共感したか?って話をするなら、母の智子の章が1番自分に近いかな?と思った。これから死ぬまで毎日、この人のために出汁をとったり生姜をすったり梨の皮むいたりしなきゃいけないのか、と思うとゾっとするという気持ちは分からんでもない。
 
で、最後は美帆の章に戻るわけだけど、結婚を考えている恋人に550万の借金があることが分かって悩むという展開。結婚後、毎月3万円を20年支払わなければいけないと考えると夢の一戸建ては諦めるしかない。月3万円の出費でそこまで逼迫してしまうというのは、、お金の問題ってつくづく大事なんだなあと思った。愛とか節約とかそういうレベルじゃないところで、それぞれのやり方と幸せを見つけるしかないかも。お金があっても暴力的だったり浮気をする配偶者なら不幸なわけだし(それにしても、「ちょうどいい男」っていうのがいかに希少かを考えさせられる)。
 
共感、というより「人は人なんだからこの人たちがそれでいいならいいんじゃない?」に近い読後感。
身近にいそうな人びとの性質がよく描けていると思う。実際、こういう人いるいると何度も思った。不快すぎない、過激すぎないリアルさと読みやすさも今の気分にちょうどいい。いつも読んでいる作家さんを読んでいるみたいな安心感があってすぐ馴染んだ。他の作品も読んでみたい。