すべてが猫になる

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紀伊勝浦旅行記 ~超まぐろ旅~

皆様こんにちは。

先日結婚記念日(ちょい早いけど)旅行として、2~3日で勝浦1泊旅行して来ました!目当てはもちろんまぐろ!まぐろ大好きなので、一生分食べるぞ!という気合のもとに旅立ちました。

 

一日目

 

6時起床(意外とゆっくり)。サクっと天王寺へ出て、電車で食べるパンを買って、いざ「くろしお」に乗って3時間半ガタンゴトン。これがまあ、ほんとにガタンゴトンな電車でして…。いつも車中ではちょこちょこ本を読むんですが、とても読んでいられないぐらい揺れました…。。早々に諦め、マンガならいけるだろうと電子書籍を読み始めたんですが…トンネルの中では読めないんですよね。。結構な頻度でトンネルに入るので、これまた諦めて…寝ました。旦那は横で寝たりゲームしたり。まあ喋ったりもしつつ。

 

11時半、ついに紀伊勝浦駅到着!!つ、つかれた。。。計画を立てる時、旦那に「3時間半乗るけどいける?」と聞かれ、「いけるいける!よゆう!」と答えた自分を殴りたいです。これから同じことを聞かれたら、くろしおかくろしおじゃないか聞くことにしようと思いました。。まあ、日曜日なのにガラガラなのは良かったけど。

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いい感じに寂れています^^。どこにも那智黒アメの看板ばかり。他にないんか。

そしてお目当ての「にぎわい市場」へ。

にぎわってはいませんが…。

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その場でトレーに乗せてラップに値段シール付けられてるまぐろを3つ選んで刺身にしてもらって、お定食に。通路に食べられるテーブルがあります。旦那が「まぐろカツも食べてみたい!」と言うのでそれも。のちのち「まぐろカツ、いらんかった…」と弱音を吐く旦那。味というより、量の問題。ごはんが多かった。。

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このあと観光タクシーのチケットを買って、色々周りました。世界遺産熊野古道

初めて行くところばかり。

みなさんご存知かな。恐怖の大門坂です。ガッタガタで不均等なので、かなりヘビーです。まだまだ元気だったので、「いけるいける!」とはりきってのっしのっし登りました。これが後に悲劇を招くとは知らずに。

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途中から、待ってくれていたタクシーに乗り上へ。那智の滝です!写真屋さんに写真撮ってもらって、カラスのお守り購入。さすがに戻りの階段はキツかった。若者がのっしのっしと平気な顔で上っている横でぜえぜえ言うのはカッコ悪いので、無理して真顔で上りました。。

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そして青岸渡寺。寺と神社が隣り合っている珍しいところです。タクの運ちゃんのガイドをほおほおと聞くふたり。さあ撮ってあげるから並びなさい、と。サービスいいね。シャッター押すときに毎回「はい、な~ち!」と言われるのには参ったけど。※写真これしか撮ってなかったのでちょっと怖くなってすいません。

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熊野那智大社。カラフル。参道くぐりました。狭く見えたので、いけるかな?いけるかな?とビビリながらギリギリの幅を通るふたり。ダウン破れないか気が気じゃない。(有料なのでね)良かった、通れて(^_^;)。

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三重塔

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そのあと、まだ時間あるからとコースに入っていない神社(名前忘れた)やかまぼこセンター通称かまセンでぶらぶら。かまぼこ試食。リンゴかまぼこなんていうものもありました。

 

そしてかつうら御苑へ。最初のムリがたたってクッタクタだったので、16時から入っちゃいました、お風呂。やはり、知らない人と何時間も一緒にいるのはどんだけいい人でも気疲れがすごい。。すまないタクのおじちゃん。一生懸命ガイドしてくれてたけど、最後のほうほとんど聞いていなかった。。。

 

お部屋はこんなん。

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いえーい。内風呂!!貸切風呂は何度か体験しているんですが、部屋に露天風呂付きは初めて。まあ分かっていることですが、とにかくアホみたいに寒い。。。そこをムリして飛び込みました。ずっと混ぜ混ぜしないとぬるいです。洗い場が一つしかないので、お互い洗っている時は片方が時々お湯をかけてあげるという裏ワザで乗り切ります。それでも寒いので、シャンプー⇒風呂⇒身体あらう⇒風呂、という順番。とにかくまぜないとぬるいので、1時間は風呂で遊んでました。

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19時、ごはん。お昼にお腹いっぱいだったのでお腹すくかな~?と心配してたんですが(だから一番遅い時間にした)、風呂まぜまぜでかなり消耗したらしく、ちょうどいい具合に。

 

バイキング!海鮮!まぐろ!!いえーい。まぐろ料理ばかり。普通のものがあまりなく、(カレーとか焼きそばとか取ってる場合ではない)かなり好みの素晴らしいお料理でした!惜しむらくは、ソフトドリンクだけ有料だったこと。いや、飲まないけどさ。そんなとこ初めてだったからちょっとビックリ。あと、スイーツ系は全然種類がなかったですね。

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そしてまた1時間風呂でまぜまぜタイム。

 

二日目、朝。6時に起きて、風呂にざぼーーん!!24時~5時まで安全のため温泉止められるので、死ぬほどぬるいです。。温まるまでとにかく混ぜる。この日の天気は曇りで、朝日が拝めなかったのが残念。

 

朝のバイキング。夜に比べるとイマイチだったかな。あまり種類がないので、端から順にあるものを取りました。ここは和食が死ぬほどンマイ。さすがに朝はソフトドリンクも無料で用意されていました(根に持っている)。

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のんびり部屋で過ごし、いざ10時50分発の遊覧船へ。紀の松島を回ります!

ここでも那智黒推し。

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ベタすぎる名前のくじら号。

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乗客は8人とかかな。。もちろん2階っしょ!と最初2階にいたんですが、凄まじい風。凍死するかもしれない予感がしたのであっさり下へ。。海が青い!深いのかな?島のトンネル?潜ったり。1時間くらい。すごく良かった。ちょっと酔ったけど。

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そして雑誌で調べておいた、まぐろのお店でランチー!芸能人のサインがたくさん。でも平日だからか、お客は女子3人しかいませんでした。まぐろのお料理は最高でした。朝ごはんでお腹いっぱいでしたが、まぐろならいける(コメは旦那がほとんど私の分も食べた)。

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そしておみやげ買って恐怖のくろしおへ。乗客は、我々の乗る車両に3人ほど。。マスクいらねえ。ほとんど寝て過ごしましたが、暑くて暑くて。。旦那はそうでもないと言うので私の体温調節がおかしくなっていたのだろうか。耐えられず一度デッキに逃げたのですが、どうした?というぐらいデカい声で電話しているおじさんがずっといたので居たたまれなくなってすぐ戻りました。あついー、あついー、もう寝るーと言いながら20分ほど寝て、目覚めたら旦那が私をずっと扇いでくれていたという。。すまんかった。

 

無事帰宅。超おいしかった…じゃなくて楽しい旅行でした。温泉さいこー。もっと居たかったなあ。次はどこに行こうか協議中です。

ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー  (ねこ4.2匹)

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ブレイディみかこ著。新潮社。

NHKおはよう日本」「あさイチ」 フジテレビ系「めざましテレビ」 TBS系「王様のブランチ」で紹介! Yahoo!ニュース|本屋大賞2019 ノンフィクション本大賞受賞! 第73回毎日出版文化賞特別賞受賞! 第2回八重洲本大賞受賞! 第7回ブクログ大賞 エッセイ・ノンフィクション部門受賞! 紀伊國屋書店スタッフが全力でおすすめする ベスト30「キノベス! 2020」第1位! We Love Books 中高生におすすめする 司書のイチオシ本2019年版第1位! 第13回神奈川学校図書館員大賞(KO本大賞)!
 
大人の凝り固まった常識を、 子どもたちは軽く飛び越えていく。 世界の縮図のような「元・底辺中学校」での日常を描く、 落涙必至の等身大ノンフィクション。 優等生の「ぼく」が通い始めたのは、人種も貧富もごちゃまぜの イカした「元・底辺中学校」だった。 ただでさえ思春期ってやつなのに、毎日が事件の連続だ。 人種差別丸出しの美少年、ジェンダーに悩むサッカー小僧。 時には貧富の差でギスギスしたり、アイデンティティに悩んだり。 世界の縮図のような日常を、思春期真っ只中の息子と パンクな母ちゃんの著者は、ともに考え悩み乗り越えていく。 連載中から熱狂的な感想が飛び交った、私的で普遍的な「親子の成長物語」。(紹介文引用)
 
イギリス在住のライターさんが描くノンフィクション。アイルランド人と結婚した福岡出身の日本人ということで翻訳ものではないのだが海外もののくくり。かなり話題になっている本のようなので本屋に見に行ったら熱いポップと共に山積みされていた。
 
体裁は、中学生の息子を持つ母親が彼の学校生活、日常を通し感じたことを綴るというもので読みやすいエッセイスタイル。EU離脱や緊縮財政の影響を描きながら、多様化する英国(多人種混在国家、LGBTQ、格差など)の実情を1人の女性の視点で暴き出す。ヘイト発言、フォビア(LGBTなどへの嫌悪感情)、そもそもの衣食住の確保。子どもは大人の影響をダイレクトに受けるという現実に打ちのめされる。哀れみ共感する感情は万人に身に付いたものでも、他人の立場に立つことが出来るかは「個々の能力」なのだ。純日本人には想像もつかないアイデンティティの揺らぎ。それでも子どもたちは自分たちで考え、たくましく成長していく。
 
ここに描かれる英国の子どもたちの実態を読むと、私たちが主張する「多様性」がいかに貧弱であるかということが分かる。いやもう、この本を全人類が読むとこの世のあらゆる差別はなくなるんじゃないかとさえも。自分は違う、と思う人こそこの本を読んでみて欲しい。

光る鶴  (ねこ3.6匹)

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島田荘司著。光文社文庫

捜査一課の吉敷竹史は、知人の葬儀で九州・久留米市へ。そこで出会った青年から、義父の再審への協力を頼まれる。二十六年前、三人の女性を殺して死刑判決を受けた「昭島事件」。すでに人の記憶は風化しており、冤罪事件を覆す証拠は見つかるのか(「光る鶴」)。―吉敷竹史は、なぜ刑事になったのか(「吉敷竹史、十八歳の肖像」)の他、文庫書下ろし(「電車最中」)を収録。(裏表紙引用)
 
吉敷竹史シリーズ第16弾。これだけ読みこぼしていたのでやっと読んでみたが…まあ、読んでも読まなくても、ってぐらいの感じだったかな。吉敷ファンならたまらないかも。
 
「光る鶴」
250ページ強の長編。
これは現実の秋好事件を下敷きにしたものらしい。あとがきを読むまでフィクションとして読んでいたので、事件の恐ろしさに震え上がっていたのだが…現実とは。死刑囚の冤罪を吉敷が晴らすという内容。赤ん坊を線路と線路の間に避難させるほうが危ない気がするのだが…。時刻表もの?を久しぶりに読んだ。相変わらず吉敷さんは誠実で熱い男だったので安心した。
 
「吉敷竹史、十八歳の肖像」
短編。タイトル通り。吉敷さんがどうして警察官になったのかが描かれる。唯一の友人が闘争で殺された、っていうのが辛い。文学好きの吉敷さんらしく、宮沢賢治に影響を受けているのが嬉しかった。それにしてもどうしようもない時代だなあ。
 
「電車最中」
舞台は鹿児島。建設企画会社の課長が自宅で射殺された事件を、刑事の留井が追う。この時代の捜査って大変だな。今なら最中の情報ぐらいスマホで一瞬だもんね。そのかわり人々の口が軽いから個人情報とかベラベラ喋ってくれるけど。何日も何人もかけて調べて分からなかったことが、吉敷さんに電話したら一時間以内で判明するっていう(笑)。事件はそれが分かれば解決するようなものだったけど、ラストの留井と吉敷さんの語らいがしっとりしていて良かった。
 
以上。古いっちゃ古いけど、人情系でもあるしまあまあだったかな。こういう系統って、一つのことだけを追って(この最中はどこの店の最中か、とか何時何分に誰それがそこにいたかどうか、とか)それさえクリアすれば解決するから逆に新鮮だった。

ヴォイド・シェイパ  (ねこ3.8匹)

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森博嗣著。中公文庫。

人は無だ。なにもかもない。ないものばかりが、自分を取り囲む―ある静かな朝、師から譲り受けた一振りの刀を背に、彼は山を下りた。世間を知らず、過去を持たぬ若き侍・ゼンは、問いかけ、思索し、そして剣を抜く。「強くなりたい」…ただそれだけのために。(裏表紙引用)
 
ヴォイド・シェイパシリーズ、ってことでいいのかな。「無を形作る人」的な意味らしく、それが主人公の人生のテーマになっている感じがするからそれでいいんだろう。
 
と、いうことで森さんのまさかの時代もの。時代ものと言ってもそこは森作品。文体は森節のままだし(スカイ・クロラと似てる)、歴史上の人物も土地名も何も出てこない。キャラクターも「ゼン」「カシュウ」「イオカ」みたいな感じしかないので覚えやすい。ので、これ読むのに歴史苦手とか一切関係ないと思う。侍が主人公なので、だいたいそのぐらいの時代のもの、というだけ。地域も年代も特定する記述はないのでまあ読みやすいったらない。
 
カシュウという豪剣に育てられた、剣士の若者ゼンが、カシュウの死をきっかけに人里へ下り様々な人々と出会い、生きることの価値や剣士としてどうあるべきかを己に問いかけながら旅をしていく、というお話。出会う人出会う人、みんな悟った感じなのが凄いな。ゼンはカシュウと自然、動物以外の世界にいなかったからどこか他人とズレていて面白い。旅の道中女の人2人に恋されてる感じだからモテ男だね。禅問答みたいな感じの会話もあるし、一生答えが出ないようなことを知ろうとしているからこれからどんな人と出会ってどう変わって行くのかなって感じ。うん、すごく良かった。

QED 龍馬暗殺  (ねこ3.8匹)

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高田崇史著。講談社文庫。

高知の山深く、平家の落人伝説が残る蝶ヶ谷村。土砂崩れで密室と化した村の一夜に起こる殺人と自殺。大学の後輩全家美鳥を訪ねてきた桑原崇と奈々たちも事件に巻き込まれるが、その最中、維新の英雄・坂本龍馬暗殺の黒幕を明かす手紙の存在を知る。因習に満ちた山村と幕末の京都を結ぶ謎に挑む崇の推理は―。(裏表紙引用)
 
QEDシリーズ第7弾。
 
幕末かぃ。ついに全く興味のないテーマの巻に来てしまった。が、薀蓄8割事件2割のこのシリーズ、2割の面白さで読めちゃうのである。蘊蓄も一応読むが、タタルの結論が合ってる間違ってるとかではなく歴史オタクどもの饗宴をハタから眺めて楽しむものなのでササっと流す。ここで奈々ちゃんの妹沙織ちゃん登場。これが龍馬オタクの歴女ってのが面白いよね。しっかりものの奈々ちゃんと天然の沙織との対比が笑える。現実だと歴史薀蓄をひけらかす人うっとうしいだろうな…ははは…。
 
なんかもういよいよテーマと事件が無関係になってきて、そのくせ濃度は濃いので読後の印象は事件より龍馬になってしまうが。閉鎖的な村に隠された因習とか、常人には理解できない動機とか、10人程度の村の人間関係のクドさに結構ぐったり疲れてしまった。イマドキ若者がこんなんなるかね。まあ邪魔者扱いされながらもひょうひょうと薀蓄と推理をぶちかます相変わらずのタタルにホっとしつつ、突然現れた小松崎の役立ちっぷりに見直しつつ、イマイチ態度のハッキリしないタタルに悶々とする奈々ちゃんに同情しつつ、面白く読めたのでありました。
 

言葉人形/Creation and Other Stories  (ねこ4匹)

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ジェフリー・フォード著。谷垣暁美編訳。東京創元社

かつて野良仕事に駆り出された子どもたちの為に用意された架空の友人、言葉人形。それはある恐ろしい出来事から廃れ、今ではこの博物館の片隅にその名残を留めている――表題作ほか、光と星の秘密を追う研究者の実験台となった無垢な娘の運命を綴る残酷な幻想譚「理性の夢」、世界から見捨てられた者たちが身を寄せる幻影の王国が、少女王妃の死から儚く崩壊してゆく「レパラータ宮殿にて」など、世界幻想文学大賞、シャーリイ・ジャクスン賞、ネビュラ賞、MWAなど、数々の賞の受賞歴を誇る、現代幻想小説の巨匠の真骨頂ともいうべき13篇を収録。(紹介文引用)
 
幻想文学の一人者ジェフリー・フォードの<海外文学セレクション>。お仲間さんの記事を読むまで全く知らない作家さんだったのだがそうそうたる経歴をお持ちのようで、無知を恥じる。「短篇傑作選」ということなので、13篇なる作品のどれもバラエティに富みながら駄作はないという印象。とはいえ改行がほぼなく字がびっしり、会話文少なめの神視点多め、訳のせいなのかどうなのか、最初はかなり取っ付きが悪い。一篇目が「創造」でなかったら多分挫折していた。もう少し読んでみようと続けて三篇読んでみたら結構ハマってしまったわけだが、それでも作品によってはどうしても入り込めないものもあったりして。
 
多いので好きだった作品を。
前半の「創造」「ファンタジー作家の助手」は様々な愛情のかたちにジンとくる。「<熱帯>の一夜」の老人の反撃は呪いより怖い。「光の巨匠」の光の錬金術師が語る闇の話はほとんどウルトラマン。嵌められたってこと?「私の分身の分身は私の分身ではありません」はダーク系。自分の分身に、悪い分身がいるっていう突飛な設定。分身に家があるよ!これめっちゃ好き。1番好き。表題作「言葉人形」は労働力にならない子どもたちの代わりが野良友だち「言葉人形」だという不可思議な伝統の話。「夢見る風」は毎年ある町を襲う風が人をナイフや鏡に変えるっていう迷惑な話なんだけど、それが突然なくなったら…?っていうワクワクするお話。「珊瑚の心臓」は人間を珊瑚に変える剣、後半ドロドロ恋愛っていう展開にビックリ。ラスト「レパラータ宮殿」は偽物の国民と王妃を喪って悲しみに暮れる王の崩壊と再生の物語。
 
人によって好きな作品は分かれると思う。円環構造とかよくわからんお話も混じっていたし。文体が濃密で設定が独特なのでお話がどう展開するのかサッパリ読めないところが魅力だった。
 
 

蜂に魅かれた容疑者  (ねこ3.8匹)

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大倉崇裕著。講談社文庫。

新興宗教団体にかかわる事件で警視庁が緊張に包まれる中、都内近郊ではスズメバチが人を襲う事故が連続して発生。中には、高速道路を走る車内に蜂が放たれるという悪質な事例も。平穏な日常を脅かす小さな「兵器」に、窓際警部補・須藤友三と動物大好き新米巡査・薄圭子の「警視庁いきもの係」コンビが立ち向かう。(裏表紙引用)
 
警視庁いきもの係シリーズ第2弾。
 
なんかもう、全く後をひかないくらいあっという間にすらすら読めてしまう。面白かったけど。
もちろんいきもの係なんて係はなく、正式には総務部総務課動植物管理係というらしい。須藤警部補の所属先ね。事件で頭を撃たれて復帰、とあるけど前作をすっかり忘れてしまっている。薄ちゃんは警察博物館の巡査ってことで。薄ちゃんの動植物の知識はほんとに凄いけど、大事な時に脱線して薀蓄を語りだすの結構イラっとする。。須藤さんと2人の時ならいいけども。いや、薄ちゃん好きなんだけど。あと今の時代に警察官に「お嬢ちゃん」とか言っちゃうの結構問題だと思うんだけどなあ。いや、好きなんだけど。その2つだけ毎回引っかかったのね。
 
今回は宗教法人が鬼頭管理官に恨みを抱いて銃撃しちゃうという大事件と、テロばりに各地で蜂を仕掛けて一般人を命の危険にさらしてしまう、っていう事件を解決。蜂、マジでこわい。。私なら手でめっちゃ振り払っちゃって刺されまくるパターンだろうな。。黒い服も結構着てるし。元同僚の田之倉さんがヒドイ目に遭ったのは本当に心配した。ラストさらにヒドイけどこういう役回りなの?このキャラ(笑)。
 
事件のデカさの割に最後はドタバタとあっけなく終わったけど、蜂っていうのがかなり恐怖だったし、薄ちゃんの活躍は見事だったし(頭も行動も)、須藤さんも熱かったし(ちょっとどうなのって行動もあったけど)、楽しめたなあ。